ユーカリの木

都立林試の森公園


むかし、森の中に住む友だちの家の脇に、ユーカリの木がありました。
毎日のようにその友だちの家に遊びに行っていたころはまだ、ユーカリの葉がコアラの主食だなんてことは知りませんでした。
今思い起こせば、高さは10mほどだったような…。大きくもなく幹も太くはなかったのですが、なによりそのちょっと不思議な響きのある名前が好きな木でした。

都立林試の森公園


あれから45年ほど。
友だちの家は当時、明治時代から続く林野庁の管理する、東京都目黒区と品川区の区境辺りに広がる林業試験場という森の中にあったのですが、それから数年後に試験場としての機能が移転し、森は東京都に払い下げられ「都立林試の森公園」として生まれ変わりました。

今思えば、ボクの友だちは林野庁職員の息子さんだったのでしょう。
公園に生まれ変わった今、当然、彼の家のあった辺りには家はありませんでした。

その代わりに、こんなものがあることを知りました。
「倒木自然観察樹木」

倒木自然観察樹木 ユーカリ


あのユーカリの木は1952年(昭和27年)に植えられたものだったのだそうで、ボクが友だちの家に遊びに行っていたのはそれから20年近くあとのこと。
その後、試験場は公園として公開されるようになり、そして5年前の9月。
樹高は34m、幹周り3.3mにまで大きくなったこのユーカリの木は、東日本に上陸した戦後最大級といわれた台風15号によって、倒されてしまいました。
倒木時には大きな地響きが起こったのだそうです。

倒木自然観察樹木 ユーカリ

倒木自然観察樹木 ユーカリ

倒木自然観察樹木 ユーカリ


通常は気象災害などで幹折れした樹木は堆肥にしたり木材として利用したりしているのだそうですが、このユーカリはどのようにして自然に戻っていくのかを観察できるようにするために、倒木したままの状態で見守ることにしていくのだと、木の脇に立てられた説明板に書かれていました。

ボクの友だちの名前は、「ミキオ」。
力強く雄々しい幹のように育つことを願って付けられた名前なのでしょう。林野庁に勤める親御さんらしい命名だと、勝手に納得しています。
今、彼がどうしているかなどは全く知りませんが、あの時、彼の家の脇にあったユーカリの木は、倒れてしまったけれど今もあの地にありました。

倒木自然観察樹木 ユーカリ

倒木自然観察樹木 ユーカリ

倒木自然観察樹木 ユーカリ

倒木自然観察樹木 ユーカリ


今後この倒れてしまったユーカリは周囲とどう関わっていくのでしょう。
この季節、倒木の周りには多くの緑があふれて、また昆虫の姿もみることができました。
静寂の中にも、しっかり力強くまわっていく自然のめぐり。
そこには、ボクたちもしっかり巻き込まれているのです。

倒木自然観察樹木 ユーカリ


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