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九月十一日

9月11日。
2001年のあの日から、14年が過ぎました。
14年も過ぎたのに、世の中は歪んだまま。
2001年9月11日から数日経ったある日に、当時ボクの周囲にいた方々に送ったメールマガジンのような文章を、今日は再掲出してみます。

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今や崩壊してなくなってしまったニューヨーク・ワールドトレードセンター(WTC)から道路一本隔てたハドソン川寄りに、ワールドフィナンシャルセンターという建物がありました。
こちらもWTCの崩壊と同時にその姿を消してしまったようですが、そのワールドフィナンシャルセンターの顔とでもいうべき、「ウィンターガーデン」と呼ばれた広大なアトリウムが好きでした。
壁や床は全て大理石が貼られ、見上げれば巨大なガラスの青天井。
その空間の中央には大階段があって、その脇には今でこそスターバックスなどで見慣れてしまったちょっとしたカフェ。
アトリウムには常にコーヒーの香り。
ばっちりスーツ姿の人もいれば、意外とラフに、タンガリーにチノパンの人もいる。映画「ワーキングガール」のバリバリ・キャリアウーマンを演じていたシガニー・ウィーバーみたいなカッコいいキャリアOLみたいな人もいれば、ウーピー・ゴールドバーグみたいな気の好い清掃婦が大きな台車を押していたりもします。
外はけっこう慌ただしいのに、そこだけは静寂が漂っている空間でした。
でも、イベント開催時には大階段は観客で埋まり、ゴスペルやらサックスやらがとても好い具合に響く、意外と立派なコンサートホールでもありました。
とても背の高いパームツリーが、大きなガラスの壁面にならび、夜にはそれらが豆電球でライトアップされる…。
おそらく最初の一撃で、その巨大なガラス天井は破壊されてしまったのでしょう。
カフェテリアも、そこでいつもシューッと音を立てていたパーコレーターも。
初めてうちのカミさんと出会ったころ、あまりにいつもいっしょにそこに行くものだから、たまには人の多いごみごみしたところに行こうよと、よく諭されたことが、ほんの昨日のことのように思い出されます。
1年間過ごしたイギリスからニューヨークに移って、その薄汚さとどことなく漂う危険そうな気配、そしてさらに輪をかける湿度の高さに、じめじめとした空気。そんなものにイギリスへのホームシックのような感覚すら湧き始めていた時に、初めて好きになった “アメリカ” がこのウィンターガーデンでした。
建物の中に入るだけでなんだかちょっと格好良くなったような感じのする空間。
街中はどこか薄汚れていて、気ぜわしく慌ただしいのに、なぜかここだけ時間がゆったりと流れているように感じ、低く抑えられた湿度と清潔な空気の中、のんびりとパームツリーを眺めていたら、「これからの1年は、今度はこの街で生活するのだ」という活力とまでは言わないまでも、なにか踏ん切りを付けさせてくれた空間でした。
あの周辺が壊滅状態だということです。
ボクにとってそれはある意味で阪神大震災以上の喪失感があります。
アメリカを見直し、アメリカンドリームの端緒を見ることになった原点とも言えるであろう場所が、今回こともあろうに、個人的な遺恨で喪失してしまったのだから。
未だ行方不明者の救出活動は捗っていないようです。
事件以来、なかなか見ることのできなかった現場付近にもようやく報道のカメラが入れるようになって、いくつかの報道機関を通じてその映像を目にした時、事の重大さを改めて痛感したのは皆さんも同様のことと思います。
その時、ふとボクの眼に入ってきたものがありました。
あ! ボクは眼を疑いました。
ウィンターガーデン西側、ハドソン川に面した一大ガラス壁面と二重になった天井の一部が、残骸の中に凜として立っていたのです。
くすぶる煙と建材の粉塵が漂う中、そのきれいな二重のアーチが画面に映し出された時、崩壊してもなお人々に夢を与えてくれる街であるとボクは感じました。
犠牲になった人々の数は確かに尋常ではないし、これから起こるであろう戦争にも納得できるものは何一つないけれど、とりあえず街の再起に向けてなにか期待のできる光明でも見たような気がしました。
この話をお読みになっている皆さんの知人や友人、また身の回りの方々の知り合いなどでこの事件の犠牲になった方もいらっしゃると思います。
そういった方々の心情は察するにあまりあるもので、なんと申し上げたものかと思います。明るいこれからの社会を作り上げることで、報いたいと思います。

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後年知ったのですが、ワールド・フィナンシャルセンターはワールド・トレード・センターの崩壊の際の爆風や降り注いだ建物の破片で大きな損傷を受けたものの、翌年の5月には元通りに改修されて営業が再開されたのだそうです。
ネット上で検索をかけると、立派なパームツリーが並ぶあの懐かしいアトリウムの今の姿を見ることができました。
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