スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

小説 『電車屋赤城』

《あらすじ》
ホームからは見えない電車の下半分。ここには人の命を預かる車両整備に誇りと夢と人生をかける男たちのドラマがあった。
ひきこもりの青年が出会った、一筋縄ではいかない油まみれの無骨な面々。様々な過去を背負いつつ、ひたむきに仕事に打ち込む職人たちを前に、青年は少しずつ殻をはがしていく。そんな彼らを、大規模な脱線事故が襲う。
消え行く旧型車両と運命を共にする男たちのたぎるほどに熱い生き様を描く感動長編!

裏表紙の内容紹介より


鉄道好きの知り合いの間で、ちょっと話題になった一冊です。
神奈川県の川崎から三浦半島まで走る鉄道会社、神奈川電鉄とその車両整備の仕事を請け負う小さな企業を舞台に、そこに登場する人物ひとりひとりを主人公にした7つの章の物語が連なってひとつの話にまとまった作品。
その中心にいるのが、この小説のタイトルになっている赤城という男です。

電車の整備のエキスパートで、もはや神の領域とでもいうべきその高い技術力と作業の緻密さながら多くを語らず喜怒哀楽の表情も乏しい赤城は、仕事上では妥協を許さないことから煙たがられることも少なくない男。
一方で、車両の整備に真剣に携わる職員たちからは絶大な信頼を受けて信望の厚い男というのが、赤城の立ち位置です。
車両整備に関わる人々は、経済環境の変化によって経営改善を図ろうとする経営側からは、合理化を迫られ、赤城を始めとする職人たちはその居場所を徐々に失っている状況。
赤城たちが整備してきた旧型車両から、整備面でも合理化が図れる新型車両に置き換えられつつある状況の中で、安全を第一に車両整備に携わる男たちの物語がリアルに描き出されています。

電車は時間通り正常に走ることが当たり前と考えがちですが、それを支える職人たちの働きがあってこそだということに、改めて気付かされました。
それは現場出身の作者が実際に目にしてきたことを描き出しているからなのでしょう。
仕事上の実績と人柄で築かれる同じ職場の男たちの友情。
ストイックなまでに真摯に仕事に打ち込む職人たちの姿と厚い友情の物語は、実に男臭くて、とても好い。
無骨な男たちが自分の本筋は通しながらも少しずつ変わっていく様子も、登場人物と同世代のボクとしては心打たれるものがありました。

鉄道趣味から偶然知った小説ですが、鉄道趣味を満足させるだけに留まらず物語として楽しめたというのが、ボクにとっては一番でした。
作中で奏でられるブルースが、物語全編に渋いBGMとして流れ続けていたような印象で、今は実に気持ちの良い読後感に浸っています。

小説「電車屋赤城」

『電車屋赤城』
山田深夜 著
角川文庫

関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

Re: 焼酎学生さま

女性も恋もないというわけではありませんよ~。
ただ、そういった色恋話よりも、男同士の人情話の方が濃くてリアルに描かれているので…。
男女のくだりはどこもなんとなく演歌か劇画調で、きっと作者も作中に登場する男たち同様、女性に対しては無骨なんだろうなぁと感じました。
まあ、男が読む男の小説ですね、確かに。

No title

書店でパラパラめくってみる人は鉄道ファンですね。
女性も恋も登場しない題材って、まるでドキュメンタリー。
男が読む男の小説なのですね。
最新記事
最新コメント
プロフィール

I.Z.

Author:I.Z.
I.Z.と書いてイーズィーと読みます。
こまめというわけにはいきませんが、ちょっとしたことを書き記してみます。

最新トラックバック
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
ClockLink

サイトの訪問者数:
現在の閲覧者数:
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。