「チューリヒ美術館展」を見に行く

クロード・モネの絵画を見ると、心の中の無垢な部分に波風が立つ-
夏の終わりに世田谷美術館にモネの「ラ・ジャポネーズ」を見に行ってから3ヶ月。
今度は、連作で有名な「睡蓮」のうちの、晩年の作品が展示されているというので、会期終了間近の国立新美術館まで見に行ってきました。

『チューリヒ美術館展』

モネだけでなく、シャガールやゴッホ、ルソー、ドガ、ピカソなど、かつて美術の教科書で見たことのある作品ばかりが全部で74点。
19世紀後半から20世紀中頃までの、新しい表現方法を生み出した芸術家たちの代表作ばかりが、みごとに並べられていました。

チューリヒ美術館展

その多くがもともと知っていた作品ながら、やはりその実物を目にするというのは貴重な体験。
モネの「睡蓮」とマグリットの「9月16日」が見たいと思って来てみたのですが、実は入館してから間もないコーナーで見た、セガンティーニの「虚栄(ヴァニスタ)」という作品が、今回ボクの中では一番印象深い作品となりました。

ジョヴァンニ・セガンティーニ 「虚栄(ヴァニスタ)」


光や色彩を点で表現した印象派とは異なり、絵の具を混ぜずに細かな線として幾重にも重ねることによって離れてみた時に色が混ざって見えるようにするという分割技法。
説明を読んで理屈はわかりましたが、実際に作品を見てみると、いったいこれはどうやって描いたものなのだろうという素朴な疑問しか浮かんできません。
きめ細かな線が、きらきらとした明るさを感じさせる一方でどこか奥深さも感じさせる技法に、ボクは圧倒されてしまいました。


クロード・モネ 「睡蓮の池、夕暮れ」


そして、クロード・モネの「睡蓮の池、夕暮れ」。
幅2m、高さ6mの、大きな作品です。
夕陽を映す池の水面。
またしてもボクは、長い時間、その絵の前に立ちつくしてしまいました。
ボクはすっかりその世界に入り込んで、池の畔に立って絶えず揺らぐ水面を眺めている気分になるのは、キャンバスが大きいからそれに包まれる感覚になるというだけではないはず。
こういう感覚に陥ることについて、いつかその理由を深く考えてみたいと思います。

入口から比較的近いコーナーでこれら2作品を見てしまったからなのか、なんだかボクはすっかり疲れてしまいました。
いや、心は期待以上に満たされたので、満足な気持ちでいっぱいなのですが、やはり早い段階で圧倒されてしまったのでしょう。
そのあとにつづくコーナーは、結果的になんだか形通りにしっかりと見させていただきましたという感想にとどまってしまいました。
何度も通ってひとつひとつの作品をゆっくり見るという鑑賞方法ならばそれでもいいのでしょうけれど、あいにくこの展覧会の東京での会期はこの週末まで。
もっと早く来ていれば…。
暖かな満足感に浸れた一方で、ちょっと残念な気持ちも残った展覧会でした。

チューリヒ美術館展 入場券

自宅に戻って入場券の半券を見てみたら、モネの作品とその横に絵を眺める女性の姿があることに気づきました。
そう。展覧会は、絵画を見るという行為をする機会なのです。
作品から発せられるなにかを受け止めることが、来場者にとっての趣旨なのだということ。
モネの作品ばかりではないという意味合いも含ませながら、なかなか考えられたデザインだなと、感心してしまいました。

国立新美術館


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Re: 焼酎学生さま

絵画に限らず、知っていたはずの芸術作品に改めて触れてみて、初めて感激するということが、最近多いような気がします。
若いころには、感受性がなかったということなのでしょうか?
改めて感激できて嬉しいような、若いころに気づいていればと悲しくなるような、不思議な感覚です。

同じ美術展に何度も通えるような、そんな “通” になってみたいものですね。
芸術への知識はネットで付け焼刃的に得たものばかりの浅学菲才ですので、“通” にはとてもなれませんけど…。

No title

あすこへはもう一度出かけてみたいなと思わせる美術館(に限らないが)の存在は貴重ですね。
そういう美術作品を見るたびごとに、自分の精神が洗われ、成長してゆく実感があるように思います。

Re: Yuusuke320さま

“いつものおじさん”のネタは昨日の記事。
昨日コメントしてくださいね。(笑

来年6月?
相変わらず、ご自分の都合だけで提案してきますね。(笑
行けません。

通りすがり・・・

いつものおじさんは今日も仕事をサボり、雅楽・琴を聞いたりシビックセンターで富士山を眺めたりしておりました。
来年6月?倉敷大原美術館の「モネの池」の睡蓮を見に行きませんか?
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