バカの壁 があった場所

地下鉄 九段下駅

東京メトロ半蔵門線、渋谷方面行きのプラットフォームから眺めた様子です。
柱の向こう側に半蔵門線、押上方面行きの線路とプラットフォームがあり、そのプラットフォームの向こう側には、東京都営地下鉄新宿線の新宿方面行きの乗り場と、さらにその向こう側には柱を挟んで、新宿線、本八幡方面行きの急行電車が通過している様子が見えます。

半蔵門線押上方面行きと新宿線新宿方面行きの電車が発着する対面のプラットフォームは、昨年の3月まで壁で仕切られていて、今のように同じプラットフォーム上での乗り換えはできないような状態になっていました。

2012年6月に当時の副都知事、猪瀬直樹氏がここを訪れ、本来同一平面上で乗り換えができるようにプラットフォームが設計されていながら壁一枚で利用者に不便を強いているとして、その壁を撤去せよとの指令のもと、翌2013年の3月16日に壁が取り払われ同一プラットフォーム上での乗り換えが可能になりました。
そんな壁を猪瀬氏が、養老孟司氏の著書のタイトルになぞらえて “バカの壁” と呼びました。

東京メトロと都営地下鉄は料金体系が異なりますから、壁で仕切っていた意味もわからなくはありません。
文字通り、壁を取り払って自由に行き来できるようになれば、各駅での運賃精算の計算がたいへんになるでしょうし、料金体系が異なっていることを知らずに乗り換えた利用者がいたとしたら、下車時に予想外の精算を求められることにもなるでしょう。
それでも、そういった混乱も一時的なことであり日々の乗り換えた利用者の数からすれば僅かなことと考えて、もともと並べて設計されたのだろうと思います。
なによりバリアフリーになったのが、最も評価できるポイントだとボクは思っています。

しかし、どうでしょう?
半蔵門線で渋谷方面から乗ってきた乗客が同じプラットフォームで乗り換えられるのは、新宿方面行きの電車。
新宿や新宿三丁目に行くのならば渋谷でJR山手線や東京メトロ副都心線に乗り換えているでしょうし、手前の永田町駅で東京メトロ丸ノ内線に乗り換えているかもしれません。
逆に、新宿線に乗ってきた人たちは、ひとつ手前の神保町駅でも半蔵門線に乗り換えができるので、そこで乗り換えているでしょう。

壁がなくなって本当に便利だと多くの人たちが感じられるのは、同じ方向への乗り換えの場合ということなのではないでしょうか。
渋谷方面から来た人たちが岩本町(秋葉原)や馬喰横山(新日本橋)方面に乗り換える、
千葉県市川市の本八幡から来た人たちが渋谷に行く、江東区の大島団地に住む人たちが青山や表参道に出る…。
そんな乗り換えが同じプラットフォーム上でできた方が、より多くの人たちにとっての恩恵になると思うのです。
ですから、この駅はもともと親切に作られた風であっても本当の便利さまでは至っていなかったのです。
もちろん建設費用の問題がありますからできなかったということも大きな理由のひとつとして考えられますし、都心部の地下のことですから物理的に無理だったということも充分あり得ます。

“バカの壁” と揶揄するならば、もう一歩深く、同一方向での乗り換えができるようにしなかったもともとの設計についても、ひとことちくりと刺しておくべきだった、立場上、そういうことまで気がついて欲しかったと、ボクは考えています。
まあ、同一方向別の乗り換えになったとしても、今度は、壁が取り払われた現状に喜んでいる人たちにとっては不便になってしまうので、万人がもれなく恩恵に預かれる策というのはないのですが…。

時折しも、先日11月10日はドイツを東西に分けていた “ベルリンの壁” が撤去されてから25年が経ったという日でした。
あの壁の崩壊ほどの歴史的意味合いがあるわけでもありませんが、壁がなくなって見通しが良くなって息苦しさがなくなったというのは、どちらも同じなのかもしれません。
電車を待ちながら、そんなことをぼんやり考えてみました。

地下鉄 九段下駅


地方の運転本数の詰まっていない鉄道では、こんな心遣いがなされている駅もあります。
ご参考まで。

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Re: 焼酎学生さま

ボクには、都会だから交通網が複雑だという考え方がありません。
むしろ、鉄道が一本しか通っていない地方の方が、どこかに行きたいと思った時に公共交通がなかったり、運転本数が極端に少なかったり、またバスに至ってはバス会社ごとに運賃もバスの乗降の仕方も大きく異なり、そういった複雑さの方がある意味で怖さを覚えたりシます。

公共交通という立場と私企業という立場の間を取って営業しているのが鉄道会社やバス会社ですから、行政がそれらを俯瞰した位置から監督して、有機的に不自由なく乗り継げるように指導して交通網を組み立てていかなければいけないと思います。

公舎公邸から役所までドア・トゥー・ドアを専用車で往復するだけの高級役人たちには、自分たちが乗りもしない公共交通の仕事はしてほしくありませんよね。
乗るつもりもない路線のことなんか、誰が真剣に考えますか?
むしろ “バカの壁” は、そういったところにあるのだと思います。

No title

「大」東京だから仕方がないのか、その交通網の複雑さに、ボクは未だに慣れることができません。
一番よく利用する新宿駅だけはやっと慣れてきましたが。
鉄道の敷設計画時や延長時に、監督官庁は何をしていたのかと思いたくなります。
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