映画 『恐怖の報酬』

映画の黄金時代に作られた特に素晴らしい傑作娯楽映画を25本選び出して、高品質のデジタルシステムで上映しようという企画があり、その中の一本を見に行きましょうとお誘いいただいたので、見に行ってきました。
1953年公開のフランス映画です。

《ものがたり》
食いつめ者の移民たちでごった返すベネズエラの街ラス・ピエドラス。コルシカ人のマリオは、この町でジョーと出会い、意気投合する。ある日、街から500km先の山上の油田で火事が発生し、多数の犠牲者が出る。石油会社は、火災鎮火のためにニトログリセリンを山上へと運び上げる運転手を高報酬で募集する。そして、マリオとジョーを含む四人が選ばれた。彼らは2台のトラックに分かれ、命がけで油田を目指す。



恐怖の報酬


流れ者たちの行き着く南米の荒んだ街、ラス・ピエドラス。
そこに酒場の女のヒモも同然の状態で暮らす男・マリオが、大金を得ることを夢見て危険な仕事を請け負う-
見せ場はやはり、ニトログリセリンを積んだトラックで爆発現場に向かう男たちの道を阻む障害に立ち向かうスリルとサスペンスですが、監督はそのタイトルにもある「恐怖」に対する男たちの心理を描きたかったのだろうと思います。

逃げ場所を求めて安価でたやすく行き着いたこの地は、アメリカ資本の石油会社以外は全く仕事がなく、ここからどこかに逃げ出すにはまとまったカネが必要で、男たちは誰もが閉塞感を抱いている。
そんな彼らに一攫千金の話が舞い込み、荒くれ男の魂と死への恐怖の間で揺れ始めます。
もともと人としての道を外してこの地に逃げてきたような男たち、死への恐怖から逃げまくってこの地に流れ着いたというわけで、行き詰まりの恐怖も背景に、危険な仕事にカネと命のはざまで心が大きく揺らぎます。

はじめは躊躇していたマリオは大物面を振る舞うジョーにそそのかされて仕事を請け負いますが、いざ出発してしまえばジョーの小心者ぶりに呆れて、立場は逆転。
大金を手にしてこの苦境を脱することに信念を持って時に非情と思える行動にも走るマリオに対して、ジョーはこの報酬はニトロを運ぶ労働だけでなく恐怖に対するものでもあると語り、やがては恐怖に打ち負かされてしまう。
そういった心の機微が顔のアップや眼差しの変化、指先のちょっとした動きなどで的確に表現されていて、観客が求めるスリルとサスペンスに対して、濃いドラマが描かれていたことがボクには意外でした。

モノクロの映像ながら、荒れ果てた不毛の大地や木々が鬱蒼と生い茂るジャングルなど、なぜかとても色鮮やかに感じられるところも、名作と呼ばれる理由のひとつなのでしょう。
とても新鮮に楽しめた、古さを感じさせない作品でした。




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Re: 焼酎学生さま

ご紹介いただきまして、ありがとうございました。
1977年製作のアメリカでのリメイク版は子供の頃に見ていたのですが、この歳になって見たオリジナル版は、いろいろな意味でより一層楽しめた気がしました。
できることなら焼酎学生さんもごいっしょできればよかったのに、と思いました。

No title

ご覧になることを薦めた結果が良い映画だったと。
嬉しいものです。
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