映画 『ショートホープ』

《ものがたり》
児島和也は小学校4年生、10歳の少年。母はストリッパーのジプシー風祭、実父が誰なのかは知らなかった。数年前に里子に出された和也は、母とは別々に暮らしていた。ところが、里親に待望の男子が誕生して、和也は居場所を失ってしまう。そんな時に、母の訃報が舞い込む。「ジプシーが死んだ…」と。 和也はそのまま母が住んでいたアパートに残り、里親の家には帰らず、ジプシーのヒモだった良輔と暮らしていた。そこに、和也の担任教師、笹野が訪ねてきた。笹野は良輔から和也の居所を聞き出し、連れ戻そうと考えていた。先生の話を押し入れで聞いていた和也は、その場所から逃げだす。
自転車の乗り方を教えている父と息子の姿を眺めてから、何かを思う和也。アパートに戻り、良輔に尋ねる。「フランス座って横浜だろ?」。母と和也とが暮らした思い出の場所、少年はフランス座へ行く決意を固める。 和也の旅が始まった。



ショートホープ


ストリッパーだった母が劇場に残した僅かな私物は、笑顔で写ったスナップ写真とひと箱のショートホープ。
母の吸うタバコではなく、スナップ写真にいっしょに写る好きだった男のもののよう-
タバコの銘柄というだけでなく、“簡潔な希望” という英単語そのものの意味も匂わせるこの作品のタイトルに惹かれました。

母を亡くした和也は、京急蒲田から母の立った劇場がある横浜まで歩きます。
ポケットには小児運賃の120円もなく、夏の空の下を歩き続ければ、喉も乾くし、お腹も減ります。
喪失感に無力感が重なる中、出会う大人たちは意外にも和也に対して子ども扱いするようなことはなく、一様に自分の実情をボヤきます。

スナップ写真とひと箱のタバコを見つけてから、見ず知らずの父に会おうと試みる和也。
さまざまな経験を通して、やがて愛情について自分なりの答えが出せたのだろうと思います。
具体的に語るセリフはありませんが、少年の気持ちの変化が画面から伝わってきました。

作品のところどころに京浜急行の電車や沿線の風景が映ります。
退廃的な佇まいの閉鎖されたストリップ劇場「フランス座」は、横浜の黄金町や若葉町辺りにあるイメージなのでしょうか。
実際に、日ノ出町駅のすぐ近くにある劇場は今も営業していますが、映画に出てくる「フランス座」は長野県諏訪市に実在する建物なのだそうです。

和也が求める “簡潔な希望”。実は大人たちも誰もがちょっとずつ不都合を抱え込んでいて、その一方でなんらかの希望も抱いています。
その状況を、どのようにして打開していくのか。
ラストシーンで和也が選んだ結論が、なんだかゆっくりじわじわと染みてきました。

地味ながら、しっかりと組み立てられた素敵な作品でした




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Re: 焼酎学生さま

この作品ですが、公開からもうしばらく経っているのですが、なかなか次のスクリーンの予定がないようです。
そこがちょっと残念です。

ボクもこの「ショートホープ」というタイトルに複数かけられた意味に、センスを感じましたね。
主人公・和也役の少年の演技も、なかなか迫真で好かったですよ。

No title

ボクの好みにも合いそうな映画です。観にいかないとは思いますが。
「ショートホープ」を題名にした脚本・監督のセンスも素敵です。
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