映画 『LIFE!』

《ものがたり》
ウォルター・ミティ(ベン・スティラー)の頭の中には、常に空想が渦巻いていた。ニューヨークの伝統ある雑誌「LIFE」のオフィスで地味な写真管理の仕事をしている彼は、不器用な性格ゆえに人付き合いが下手で、密かに熱烈な想いを寄せている経理部の同僚シェリル(クリステン・ウィグ)に話しかけることもままならない。しかし空想の世界の中では、勇ましいヒーローに変身して大活躍できるし、世界中のありとあらゆる場所で胸躍るアドベンチャーを繰り広げることもできる。それがウォルターにとって退屈な日常をやり過ごすための唯一の手段だった。

そんなウォルターがふと我に返ると、やはり現実は厳しかった。時代が要請するデジタル化の波に抗えない「LIFE」は経営が行き詰まり、新たなボスはリストラの対象としてウォルターに目をつけている。しかも最悪なことに、「LIFE」最終号の表紙を飾る写真のネガがどこにも見当たらない。クビを恐れたウォルターは、冒険家でもある著名カメラマン、ショーン(ショーン・ペン)を捜し出し、直接ネガのありかを聞こうと決意する。

こうしてウォルターははるばる北極圏のグリーンランドにやってくるが、あと一歩のところでショーンに追いつけず、ありえないほど波乱に満ちた旅の継続を余儀なくされてしまう。空想の中で最愛のシェリルの助けを借り、ありったけの勇気を奮い起こしてアイスランドの火山地帯を訪れるウォルター。しかし、このとき彼はまだ気づいていなかった。突飛な空想をもはるかに超越したこの壮大なる現実の旅が、ウォルターに生涯忘れえぬすばらしい体験をもたらし、彼の人生を輝かしく一変させようとしていることに…。



映画「LIFE!」

♪ サラリーマンは 気楽な稼業と きたもんだ
二日酔いで寝ぼけていても タイムレコーダー ガチャンと押せば
どうにか格好がつくものさ ♪

1962年、ハナ肇とクレイジーキャッツにこう歌わせたのは、のちの東京都知事、青島幸男氏。
高度経済成長期のサラリーマンというのは、まあ大半がこんな具合で良かったのでしょう。
しかし、今どきのサラリーマンは、そういうわけにはいきません。

サラリーマンとは、その企業の企業理念や社訓に共感を覚えて集まった人々であり、その企業の中で成果を上げると同時に自己実現を果たしていこうとしている人々のこと。
仕事に対して前向きで順調に打ち込めている間は充実感もあって問題はないと思うのですが、これがそれなりの年月が経ち中堅の域に入ってくると、毎日が前向きなどというのはあり得ないこととなってきます。
与えられた職域や業務に対して精一杯の努力できっちりこなしていくも、そんなのこなせて当然とばかりにさしたる評価も得られないということや、なにか現状打破をしなければこの行き詰まり感に満ちた生活からは解放されないという焦燥感に常に苛まれているのが、今どき大半のサラリーマンなのではないかと思います。

会社を愛し、永年誠意を持って仕事に取り組んできたウォルター・ミティが、昨日今日突然やってきた整理屋の幹部に肩を叩かれてしまいます。
当然反発は感じながらも、彼はこれまで通りの誠実さで仕事に立ち向かい、問題を解決していこうと努力します。
行方不明になったたった一枚のネガを追う彼の原動力となっているのは、雑誌「LIFE」の社訓と、憧れの女性シェリルの姿を借りて語られる、彼自身の中にある正義。
引っ込み思案な夢想家の彼が、とてつもない大自然の中に足を踏み出して冒険していく様子は、なんとも都合の良い展開ながら、そんなことをまるごと許せるぐらいわくわくさせてくれて、笑わせてくれて、そして最後にはなんだかついつい涙が止まらなくなったりさせられたりもしました。

毎日こつこつと努力していながらも全く評価されていないことと閉塞感を打破しなければならないと思う気持ちのジレンマをていねいに描きながら、最後の最後に見てくれている人は見てくれているというなんとも自分のことのようにうれしい、かなり羨ましいエピソードもあり、終映後にはなんだか心が広くなり、またなんだか背中を押されたような気分にもなった作品でした。

昨年の晩秋の頃だったでしょうか、トレーラー(予告編)などまだ見る前に、あらすじの一部と短い紹介文を読んだ時からどうしても見たいと思っていたこの作品。
ロードショーまでもう1週間ほどありますが、2月に試写会で観ることができました。

いかにもアメリカ映画的な番狂わせなハッピーエンディングはありませんが、避けられない現実を受け入れながらも、どこか明るい未来に向かって自ら一歩を踏み出していくイギリス映画のような温かい感覚の残る、そんな後味の良い作品です。



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Re: iinaさま

コメント、ありがとうございました。
シネコンの見放題パスとは、たっぷり見られてお得感がありますね。
映画館で見る映画は、自宅で見る時と違って、大画面や途中止められない緊張感、知らない人たちの反応なども感じられて、独特でいいんですよね。

「LIFE!」も、これは大画面で見るべき映画。
ボクも予告編を結構な頻度で観ていましたが、実際の作品は期待以上のものと感じました。

繰り返し繰り返し

近所のシネコンで3ヶ月見放題パスを買ったので、新作映画をほぼ見ましたが、予告編に欠かさず「LIFE !」が紹介されました。

歌が流れる中に、スケールの大きそうな雰囲気でしたから、当方も封切を心待ちにしていた方です。公開当日の19日水曜日に、さっそく観てきました。封切前に試写会で鑑賞できたとは、ラッキーでした。

期待以上の作品でした。

Re: 焼酎学生さま

「虹を掴む男」や「五つの銅貨」、「ホワイト・クリスマス」など、ダニー・ケイ主演の名作は、タイトルこそ知っているものの、実はボクは見たことのない作品が多いようです。
ボクの場合、こういった時代の作品はテレビ放映で見たことがあるという世代ですから、きっとことごとく見逃していたのでしょう。
「虹を掴む男」も、残念ながら、ボクは見たことのない作品でした。

No title

「虹を掴む男」はコメディ映画の名作でした。ボクは何度か観て、その後も彼が出演する映画をほとんど観ましたよ。

Re: 焼酎学生さま

実はこの映画、冒頭に書いたハナ肇とクレイジーキャッツと無縁というわけでもありません。
そのメンバーのひとり、谷啓氏がその芸名の元にしたのがダニー・ケイ。
この映画はそのダニー・ケイが主演で1947年に公開された 『虹を掴む男』 のリメイク版なのだそうです。

ボクの現状は、虹をつかむどころか、毎日忙しいくせして充実感は雲をつかむような感じしかない状態。
いつの日か、虹、つかんでみたいですねぇ。

小保方さんは、雲しかつかめないのに虹をつかんだふりをしてしまったようですね。
研究に打ち込むだけではダメで、ライバルを出し抜かなければ研究費の捻出できない世界って、ホント、たいへんなんですね。

No title

人生訓のような良い映画を観られて良かったですね。
ボクも48才までは大会社のサラリーマンでしたが、繊維技術開発に打ち込む日々で面白かったです。
小保方さんの現状・先行きが非常に気になっています。
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