老舗の暖簾

地下鉄の乗り換えで通りかかった日本橋三越本店。
駅のコンコースからつながる入り口に、紺色の暖簾(のれん)が一垂、かけられていました。
老舗の呉服屋系百貨店らしい格式と、正月を迎える江戸の粋が感じられます。

日本橋三越本館 地下一階 銀座線口の暖簾


百貨店の扉は今でも比較的にガラス扉を押して開けるものが多いようにボクは思っているのですが、この時期は特に客の出入りも多く、事実上の開放状態といった感じになっているのだろうと思います。
そうなると、店内ではせっかく空調を効かせて暖めている空気も簡単に外に抜けてしまい、また出入口周辺の売り場では外気が流れ込んできて寒いと感じることもあるでしょう。
そんな時に、暖簾は保温状態を維持しつつも客の出入りも邪魔しないということで、なかなか役に立つ一枚になるのだろうと思います。

暖簾は、その文字が表すように、かつては簾(すだれ)の隙間を覆って暖かさを保つための垂れ布だったのだそうです。
それがやがて、今のように商店の屋号を染め抜き、店先に掲げる布製の一種の看板のような役割に変わってきました。
この出入口では、三越のロゴマークを大きく示しながら、店内の暖かさを保つ暖簾本来の役割も果たすものとなっています。

この暖簾をくぐれば、三越のもてなす上質な世界に入り込むことができ、そこから出てくる人たちは何らかの満足感を与えてもらって三越をあとにするのだろうと思います。
画面左側のベンチには、帰省のおみやげなのでしょうか、たくさんの買い物を詰め分けられた三越ブランドの紙袋がありますね。
「ブランド」という言葉は“烙印・焼印”に由来するそうですが、日本では“暖簾”とも訳されています。
「暖簾」という言葉は、今ではその店の信用や格式をも意味するようになっています。

暖簾をくぐるときにわずかに聴こえる上着と暖簾の衣擦れの音も好いものですし、往来しやすいようにと一端をまとめる店の心づかいが感じられるところなども、静かでたおやかな中にも深い味わいがあるような気がします。

思い立って、1階の正面玄関にも暖簾はかけられているのか、見に行ってみることにしました。

日本橋三越本館 一階 通称ライオン口の暖簾


そしてこれが、三越本館正面玄関。
大正3年英国製の二頭のライオンが両脇を固める荘厳な和製洋風建築にも、天井から提げられたしめ飾りとともに、暖簾は意外にもしっくりとハマり込んでいました。


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Re: 焼酎学生さま

堺筋はあまり通ったことがないので、難波橋(“なんにゃばし”と発音するそうですね)にも立派なライオンがいることを知りませんでした。
伏せている三越のライオンと違って、座っているようですね。
今度いつか、中之島散歩でもして実物を見たいと思います。

ボクの来年は確かに獅子奮迅なのかもしれませんね。
さらに精度をあげるべく、獅子搏兔(ししはくと)の気持ちで行きたいと思います。

焼酎学生さんも、良いお年をお迎えください。

No title

「老舗の暖簾」。さすが一格上の三越。いいですねえ。
ライオン像といえば、大阪堂島川の難波橋のも風格があり、人はライオン橋と呼んでいるそうです。
I.Zさんはたぶん来年も獅子奮迅のご活躍でしょうね。良いお年をお迎えください。
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