クラシック音楽を聴きに行く

ラジオから流れてくるクリスマスソングにもそろそろ食傷気味の今日このごろ。
クリスマス直前の三連休中日の昨日は、小学校から中学校時代の幼なじみがステージに登って演奏するということで、クラシックのコンサートを楽しみに川崎まで行ってきました。

ミューザ川崎


場所は ミューザ川崎シンフォニーホール。
2011年3月11日の東日本大震災において天井が崩落し、その後2年間かけて今年の4月1日に再開されたホールです。
楕円形の大きな器のようなホールの内部は、段々畑のように壁沿いにステージの後ろ側まで客席が配置されています。
こういったステージと客席の配置は “ヴィンヤード型”(ワインのぶどう畑型)と呼ばれ、比較的新しいホールで採用されているそうです。

ミューザ川崎シンフォニーホール


広場で誰かがパフォーマンスを始めた時に、その周りに聴衆が集まりやがてその輪が大きくなっていくのを模したレイアウトで、それが人間がパフォーマンスを楽しむ自然な姿という考え方から生み出されたものなのだそうです。
確かに、堅苦しさを感じないリラックスできそうな印象が強くありました。

さて、何年ぶりかのクラシックコンサート。
これまでは正直なところ、演奏を聴いて気持ちよくはなるものの、結局気持ちよすぎて眠ってしまったりしてしまうのが常でした。
素晴らしい演奏を聴いて眠れるというのもそれはそれで至高のひとときではあるのですが、演奏や楽曲そのものを楽しむことこそが奏者と聴衆の双方にとって幸せな関係だと思います。
今回は、そういった形でクラシック音楽を楽しんでみたいと思っていました。

東芝フィルハーモニー管弦楽団 第35回定期演奏会
曲目は、ビゼー:『アルルの女』 第一組曲・第二組曲と、ベルリオーズ:『幻想交響曲』 “ある芸術家の生涯の出来事、5部の幻想的交響曲”。
指揮は、常任指揮者の河地 良智氏です。

ステージ正面手前側には弦楽器。指揮者の左側にヴァイオリン、指揮者を挟んで右側にはチェロとヴィオラとその外側にコントラバス。
その背後には照明にきらきら輝く管楽器が並びます。指揮者に近い方には小ぶりの楽器で、後ろに行くほど楽器のサイズが大きくなっていきます。そしてその背後の壁沿いには各種の打楽器が並びます。
今回は、ハープが2台並んでいたのが印象的でしたが、ワーグナーの演奏ではハープを6台並べることもあるのだそうです。

『アルルの女』も『幻想交響曲』も、どちらの演奏も、それはそれはとても素敵なものでした。
奏者ひとりが演奏する一台の楽器から聴こえてくるのは、マイクなど電気的な拡声を一切使用していない “生” の音。
そんな “生” の音を出す楽器が何台も集まって、実にアナログな方法で大きな音を造り出し、そこに他の楽器の集合体も加わって楽曲が奏でられる-
一つひとつの音は同じ楽譜を追って演奏されているので同じはずなのですが、そこは奏者一人ひとりの微妙な個体差が反映されていて、完全な複写ではない “揺らぎ” が生じていて、それが無意識のうちに楽曲に命を与えているような気がしました。

管弦楽団と和訳される「オーケストラ」という言葉は、ギリシャ語の「オルケストラ」に由来しているのだとか。
オルケストラは、古代ギリシャ時代の劇場の舞台と客席の間に設けられた半円状の楽器奏者用のスペースのこと。
つまり、オペラやバレエを演じる際の「オーケストラ・ピット」のことを指した言葉だったのですね。
それがいつしか奏者の集団のことをオーケストラと呼ぶようになった、と…。

楽器から奏でられる生の音、集団の力。
それらの音だけで造り上げられたひとつの物語が楽曲で、その楽曲を聴く人々は音から情景や人物の心情を想像して物語の世界に浸ります。
耳から入る情報を頭で映像化して心で感じること。
音楽を堪能することは、小説を読んだり映画を見ることと、なにひとつ違いはないのだということを改めて感じたひとときでした。
そしてその演奏者のほぼ真ん中にボクの小学校時代からの友だちがいて、きらきら輝く楽器を時としてひとりだけで奏でていることも、これまたボクにとってはうれしいことでした。

「年の瀬は第九」(ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調作品125、第4楽章『歓喜の歌』)という方々は多いと思いますが、「第九」でなくとも全然いいと思います。
自分なりのクラシック音楽の楽しみ方がわかってきたこと、これが今年のボクにとっての自分からのクリスマスプレゼントになったような気がしました。

ご招待、ありがとうございました。
ものすごく楽しめました。


関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

Re: 焼酎学生さま

カミさんに訊けば、『幻想交響曲』も有名なのだそうですね。
まあ、そんなレベルの知識ですが、遅ればせながらクラシックを聴くようになりました。
そういう年齢になったということなのでしょうか、ね?

No title

新装成ったミューザ川崎シンフォニーホール。ボクもこの夏に行きましたが、建物も音響設計も素晴らしいです。
I.Zさんもクラシック音楽をじっくり楽しむ年代になりましたね。
最新記事
最新コメント
プロフィール

I.Z.

Author:I.Z.
I.Z.と書いてイーズィーと読みます。
こまめというわけにはいきませんが、ちょっとしたことを書き記してみます。

最新トラックバック
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
ClockLink

サイトの訪問者数:
現在の閲覧者数: