身近で遠くの なりすまし食材 vs なりすまし食通 

東京下町の酒場で夕食。
串揚げや牛もつ煮込みなどいかにも酒のあてという肴を選ぶ中で、メニューに「赤マンボウのお刺身」という見慣れない一品を発見。...


9月の末に一般的にはカジキマグロとして提供されるという「赤マンボウ」の話を書きました。
あれから1ヶ月ほど、昨今は食材偽装が連日発覚して、テレビのニュースでは一日一回はカメラに向かって頭を下げる企業の代表たちの姿を見ています。
「芝海老と言っていましたが、バナメイエビでした」
「鮮魚と言っていましたが、冷凍物も使っていました」
「国産うなぎだと言っていましたが、一部違うのも混じっていました」
「フレッシュジュースと言っていましたが、既製品でした」
「自家製ケーキと言っていましたが、外注品でした」…などなど。

一般企業が利益を追求するあまり誤魔化しきれそうだったら嘘までついてしまうというのは、確かに行き過ぎですが、その思考回路は意外と単純で、心情的にわからないでもありません。
ただ、道徳や倫理観で抑えることができなかった企業としての幼さ、脆弱さは見過ごせませんし、許されるものではありません。
ほんの些細な慢心が、永年かけて築いてきたブランドをいとも簡単に失墜させてしまいます。
そのブランドに再び価値や信頼を取り戻すことは、とても一朝一夕で成せるものではありません。
改めてそんなことを学ばされる事態ですが、ボクはそんな偽装に明け暮れていた企業だけが責められるべき事柄なのかとも思ったりしています。

~有名な○○ホテルのレストランで☓☓牛のステーキを食べた。
高かったけど、美味しかった。
でも、最近になって○○ホテルは、「☓☓牛ではなく普通の国産牛です」と公表した。~


こういう経験をした人にとって、本当に○○ホテルを責めることはできるのでしょうか?
ホテルは嘘をついていたけれど、食べた人は“☓☓牛だと思って”美味しく食べたわけですよね?
“☓☓牛ではない”とは気づかなかったわけですよね?
食材偽装に目くじら立てることも必要ですが、その前に自らのモノサシについてもちょっとだけ考えてみたほうがいいのかもしれません。

ボクは財力がないこともあって、食材に限らず自ずと財布と相談の上で気に入ったものを選ぶような購買特性の生活になっています。
ですから、ブランドで品物を選ぶということはほとんどありません。
妥協も含めて納得づくで商品を購入しているので大抵のモノには満足していますし、食材に関していうならば、おかげさまでカミさんの作ってくれる料理も必ずおいしくいただいています。
目利きはできませんが、“有名だから”という有名無実の付加価値などない、つましいながらも実質的な豊かさに満たされた生活が送れているといえます。
そんなせいもあってか、ここのところの食材偽装騒動が、ボクにはなぜかちょっと遠い世界で起きているできごとのように感じられるのです。

「若い頃は“腹”で喰って、その後“舌”で喰うようになり、最後は“頭”で喰うようになる」
このブログで何度となく紹介したことがありますが、これはボクの祖父が生前に語ったひとこと。
若い頃は食欲に任せてお腹いっぱい食べて、ある程度の年齢になったら旨いものを求めてグルメになって、中高年になってきたら塩分や糖分を控えて健康に良いものを適量食べましょうなどと頭をつかうようになる、という喩え。
最近は、「“舌”でなく“頭”で喰って、“腹”や“胃”ではなく“心”を満たしたい」ものだと思っています。

乳脂肪(動物性脂肪)であるはずの生クリームと表示して実は植物性脂肪のホイップクリームを使用していたというコーヒー店が「品質の差はない」と開き直ったという話を聞いて、ふと、1951年(昭和26年)にコーヒー焙煎加工販売業として大阪で創業した、福田珈琲株式会社の創業者の話を思い出しました。
製品を愛し、美味しいコーヒーを広めたいと純粋に願った人の一文です。

福田珈琲株式会社 「創業者の言葉…」


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Re: 焼酎学生さま

企業は、株式を公開した途端に向いている方向が顧客から株主に変わると聞きました。
創業者は顧客や製品に心血を注ぎ続けたいと思っても、会社が大きくなってなおさら株式会社化などされてしまうと、創業者の精神や意志などは葵の御紋にしにくくなるのだろうと思います。
それを阻害しているのが次代の雇われ経営者だと思うと、ホント、もったいないと思うのですが…。

Re: yuusuke320さま

人間に嗜好がある以上、誰かが「これが最高」と言っても別の選択肢が存在してしまいますが、お店としての主義主張を通してもいいと思うのですけどね。
その店の主義主張や流儀が、新しいブランドを創りだすのだと思います。

No title

創業者が指揮を執っている企業が持つ誠心誠意の心意気を、大企業に望むのは無理なことなのでしょうね。

おはようさん。

ブラックで飲むオイラには無縁ですが・・・ 新宿アルタとなりの珈琲店「凡」では植物性と動物性それぞれのミルクが提供されてます。

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