イシワタフミアキ 写真展 『トタニズム』

日々の忙しさに流されるうちに、そういえば最近めっきり見かけなくなりましたね、というのがトタン張りの壁。
そんな、つい最近まで当たり前のようにそこにあった日常を切り取った写真が20数点、並べられた展覧会が、御大のブログで紹介されていた写真展でした。

イシワタフミアキ 写真展 『トタニズム』


「トタニズム」とはトタンで覆われた建物の時間経過と共に浮かび上がってくる腐食や塗装の色彩を楽しみ、愛でる行為。
街に佇むトタン建築には長い間、風雨にさらされる事で独特で複雑なイメージが現れる。
天然の現代アートの記録。

展覧会の趣旨が書かれたボードには、このように記されていました。

トタン板とは、僅か数ミリという薄っぺらさを補強すべく均等な幅で凹凸が与えられた亜鉛のメッキが施された鉄板のこと。
壁や屋根の木の板や枠に直接打ち付けられて、断熱や保温の効果はほとんどない風雨をしのぐだけの安価な建材です。
カラフルに塗装されたり鈍く輝く鼠色の無塗装のままで使われることもありますが、どちらにしても無機質で、急作りな仮設といった印象が漂います。
しかし、廉価な素材ゆえに比較的簡単にやってくる経年劣化の進行が、その端正な縞模様の建物の壁に表情を創り出します。

志が高くとも資金のない情熱家がなけなしの金で建てた一夜城。
しかし根性だけではやはりなんともならず、鳴かず飛ばずのじり貧状態。
かつては明るく輝いたバラック小屋も、今は錆びが浮き、縞模様にも歪みが目立って、釘の朽ちた板の継ぎ目はわずかな風にもなびいてうるさく音を立てています。

錆が浮き出したり一部がへこんだりしたトタンの壁を映し出した写真の数々を見ながら、それは朽ち行くものに感傷をいだくのではなく、流れゆく時間やそこに出入りしていたであろう人々の営みを想像し、時代や世相にまで思いを馳せることを「トタニズム」と呼ぶのだろうとボクは思いました。

イシワタフミアキ 写真展 『トタニズム』
ギャラリーの様子(許可を得て撮影)


それほど広いスペースではありませんでしたが、ギャラリーにいらっしゃったイシワタさんともお話ができて小一時間ほど、ゆったり落ち着いた時を過ごすことができました。

エプソンイメージングギャラリー エプサイト
イシワタフミアキ 写真展 『トタニズム』
2013年10月25日(金)~11月7日(木)


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Re: yuusuke320さま

神出鬼没というほどのことはなく…。
イシワタ氏は、想像していたイメージ通りの方でした。

御大とも、もう長い仲と聞きました。
身の回りにいる若い人が、一スタッフから個展を開くまでに成長して行く様子を眺めていたわけですね。
好いですねぇ。
いつかスキ鍋、囲みましょう。

ところで、なぜタイトルが「あけおめ」?
今日で10月が終わるというタイミングなのに…。

「あけおめ」です。

時間を有効に使い神出鬼没ですね。
「トタンの一夜城での暮らし」をアレコレ想像すると夢が広がりますね。

いつかイシワタ氏とともにスキ鍋を囲みましょうね

Re: 焼酎学生さま

ボクも、もともとは昭和レトロとか古い物礼賛という考えは全くないので、トタン壁そのものはなるべく残してほしいなどという気持ちはありません。
むしろ、そういう目で写真を一点一点見ると何が見えてくるのだろうという気持ちで行ってみたわけです。

すごい写真があったわけではありませんが、写真を見る皆さんが写真の前で、どこかトタン壁のあった時代や場所に思いを馳せている姿に、ボクはこの展覧会の意義を見出したのでした。

No title

御大もI.Zさんも見てこられた展示会へ、ボクは行き(け)ません。深い関心もありませんし。
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