映画 『飛べ!ダコタ』

《ものがたり》
これは、いまから67年前に、実際にあった出来事である。昭和21年1月14日――太平洋戦争の終結からわずか5ヶ月後のこと。佐渡島の小さな村に、イギリス軍の要人機《ダコタ》が不時着した。わずか5ヶ月前まで、敵国だったイギリス兵の予期せぬ来訪に、驚き、戸惑う村民たち。だが、「困った人を助けるのが「佐渡ん人間(さどんもん)」の精神を貫き、国境を越えた友情と絆を育み、《ダコタ》をふたたび大空へと飛び立たせたのだ。そこには、日英共に戦争という忘れ難い痛みと憎しみを乗り越え、再生と平和への一歩を踏み出そうとする、願いと決意が込められていた。



映画 『飛べ!ダコタ』


もちろん良さそうな作品だなとは思っていたのですが、実際に見終えてみれば、思っていた以上の引き締まった作品で見ごたえがあったというのが率直な感想です。
物語は上記の通り、聞けば結果まで割と簡単にわかってしまうほどシンプルなもの。
終戦直後の新潟県佐渡島が舞台ということで、都会で起きるできごととは異なる展開があろうことも、あらかじめ想像できることです。
そこまでわかっていながら見終えて大きな感激があったということは、事実に基づいたエピソードの数々をていねいに映像化されているということと、この物語を通じて見る人たちにしっかりとしたメッセージが伝えられていたからなのだと思います。

突然やってきたイギリス人たちは、5か月前まで敵国として戦っていた国の人々。
戦争によって家族を失った者もいれば、人生を大きく狂わされてしまった者もいます。
しかし、実際に相対してみれば各個人は皆、紳士であり、その個人に恨みを感じているわけではありません。
過去から流刑の罪人や逃亡の落人なども受け入れてきた佐渡の小さな村はイギリス人たちも客人として受け入れ、不時着した飛行機が再び飛び立つまで至れり尽くせりの協力をして最後には送り出すのですが、その間の村民たちやイギリス人たちの気持ちの移り変わりがていねいに描かれています。

戦争が終わって新しく自由な時代がやってきた。
二度と同じ過ちを犯さない、もうこれ以上自分たちと同じ苦しみや悲しみを味わうことがないようにしなければならない、これからは国を超えて世界中の人たちと手に手を取って協力していかなければならない…。

国や司令部が戦争を煽ったという村民の言葉に対して、村長が戦争は自分たちが始めたと禅問答のようにつぶやくシーンがありました。
煽った国側に対して従った側にも戦争責任があるという見解ですが、そういった細かなメッセージがしっかり盛り込まれていることも、この作品を骨太と感じさせた要素のひとつなのでしょう。



大がかりなシーンでは低予算を感じてしまうことはありましたが、作り手の熱意と制作に対する地元の協力が強く感じられました。
社会が大きく変わりつつある時代、その中で人も変わっていかなければなりません。
しかし、変わらずに持ち続けなければならないものもある。
そんなことを改めて教えられたとても素敵な作品でした。
この話を知って、日本人に生まれたことに、ちょっと誇りを感じました。

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Re: yuusuke320さま

この映画は、最初に知ったのはどこかの映画館でチラシを見たからでしたが、見てみたいと思ったのは新聞で紹介されていた記事を読んでからです。
ここのところ、見たいと思った作品が、知った時にはすでに上映を終えていたり、どうしても見られる時間帯に上映していなかったりして見逃していたケースが多かったのですが、この作品はどうにかやりくりして見に行きました。

御大の感想、うかがいたいですねぇ。

Re: 焼酎学生さま

わぁ、なんとも残念!
この映画はあまり上映されている映画館が多くないのですが、それでもちょうど今週いっぱいは辻堂のテラスモールで一日一回だけ上映されているというのに…。

猪瀬東京都知事はこの作品を見て、後味の良い映画と評していたそうです。
確かにその通りで、なかなか言葉では説明のしにくい「おもてなし」を理解してもらうのに適した作品でもありました。
機会があれば、やっぱりぜひ!

スルドイ!

夜勤明けで見に行って来ました。
またも先を越されましたね。

No title

またもや観たくなる映画のご紹介ですが、このところコンサート関連出費で大赤字状態で~す。
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