東京・府中に 『ポール・デルヴォー』 を見に行く

府中市美術館で開催されていた、『ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅』 を見に行ってきました。

府中市美術館 『ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅』


ポール・デルヴォーは、先日見に行った ジェームズ・アンソール と同じベルギーの生まれで、夢と幻想の世界を描いた画家でした。
展覧会では日本初公開の50点を含む80点の作品が時系列に並べられ、その生涯を追いつつ業績が回顧できる展示となっていました。

神話のような古典文学をテーマに夢の世界を描いた作品には、背の高いうつろな眼差しの女性が多く登場しますが、どの絵もとても静かな印象です。
数学が苦手で道潰えたというものの親の強要で目指した建築学というのも影響したのでしょうか、どの作品でもそのシーンに描かれている建築物の描写が精緻であることも、絵に静かな印象を与えているような気がします。

(上)「行列」 1963年 (下)「エペソスの集いⅡ」 1973年そして、もうひとつの特徴は、鉄道や汽車もモチーフのひとつにしていること。
ボクが ポール・デルヴォー の名前を知ったのは、子供のころに読んだ鉄道模型の雑誌に“鉄道を描く画家”と紹介されていたことからでした。

建築物同様、鉄道も実に精細に描かれているのですが、ボクが興味を持ったのは、単に機関車が描かれていたり、汽車が走っている様子が描かれていたりするだけでなく、例えばトラム(路面電車)が描かれていればその屋根上には集電のためのパンタグラフやポールが描かれていてその先にはちゃんと架線があり、客車がプラットフォームに停まっていればその傍らには出発を告げる前の赤いシグナルを光らせる信号機が描かれていたということ。
それらの周辺機器が添えられることによって、鉄道車両が単なるオブジェからリアルな存在に変わる。それでボクはこの画家の作品と名前を覚えたのでした。

実際には、子どものころに線路際の家に住み、鉄道が動いている風景をずっと眺めていたのだそうです。子どものころからの“夢”のひとつだったのでしょう。
会場で配布されていた略年譜に、1965年、68歳で鉄道の車両内装を制作したと書かれていました。
どういったものを作り出したのかはわかりませんが、19歳で建築の道を諦めてからおよそ50年、子どものころから好きだった鉄道に“作り手”という立場で参画できたことはさぞや嬉しかっただろうと思います。
展覧会のテーマとはちょっと離れましたが、これもまた“夢”の話で、ロマンを感じました。

画家としての才能を見いだされる前の作品から視力を失いつつも描いた生涯最後の油彩作品まで全部で84点。
静かにゆったりと堪能できた素敵な展覧会でした。


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まとめ【東京・府中に 『ポール】

府中市美術館で開催されていた、『ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅』 を見に行ってきました。ポール・デ

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Re: 焼酎学生さま

日本語では超現実主義と訳される「シュルレアリスム」に属する種類の絵ですから、なかなか理解するのはむずかしいと思います。
こんな絵が好きだと言っているボク自身、全く理解はできていないと思います。

でも、そんなものでいいのだと思います。
大きな作品を見て、すごいなぁと思ったり、きれいだなぁと思うだけでも十分ですし、そもそも絵に触れる機会を持つだけで十分だとボクは思っています。

よくしゃべってうるさいボクがこの手の絵が好きだと知って、カミさんはとても不思議がっています。(笑

Re: yuusuke320さま

先週の土曜日に見に行ったので、ハイ、その翌日には終わってしまいました。
忙中閑を見つけて行ってきたので、報告が遅れました。

実車といっても、意外と生活路線をテーマにした作品ばかりなので、長距離列車よりも普通列車用の客車や貨車、トラムの絵が多かったですね。

その後ですか…?
調布の廃線跡ではなかったですね。
レポートにまとまるのかどうか、ボクの気分次第で報告します。(笑

不思議な取り合わせ

裸女の群像と、鉄道や建築物との取り合わせの意味が、僕には理解できません。

その後いかが?

11日に終わっているではないか。
なので、ネットで作品巡りをします。
実車描写ならば、オリエント急行はあるのでしょうか?

当然? その後は使われなくなった京王地上線見学ですか?
 (もうレポート済みでしたっけ?)

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