映画 『ライク・サムワン・イン・ラブ』

《ものがたり》
80歳を超え、現役を引退した元大学教授のタカシ(奥野匡)は、亡妻にも似た一人の若い女性明子(高梨臨)を、デートクラブを通して家に呼ぶ。整えられたダイニングテーブルには、タカシによってワインと桜海老のスープが準備されるが、まどろむ明子は手をつけようともしない。明子はむしろ、彼女に会うためにいなかから出てきた祖母と会えなかったこと、駅に置き去りにしてきたことが気にかかっている。 翌朝、明子が通う大学まで車で送ったタカシの前に、彼女の婚約者だというノリアキ(加瀬亮)という青年が現れる。ノリアキはタカシを明子の祖父と勘違いする。運命の歯車が廻りだす-

~映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』 公式サイト より~


映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』 公式サイト


映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』不思議な印象が残る映画を観てきました。
イントロは役者の名前が日本語で表示され、タイトルも日本語のカタカナ表記、そして本編が始まれば、それは日本を舞台に日本人しか出てこない映画…。
でも、監督・脚本はイランの巨匠、
アッバス・キアロスタミ。
邦画ではなく、日本とフランスの共同制作作品なのだそうです。

画面に現れる人々が全て日本人で、スタッフの大半も日本人だというのに、邦画では見ない映し方やカットなどが多く、またどうしてこうまで今の日本人がふつうにしているような会話を、日本語を話さない監督が脚本に落とし込めたのか。実に新鮮な印象を持つことのできる作品でした。


出演者が日本人といってもこれまでの出演作に記憶のないような方々ばかりで、しかも台詞にムリがないので、物語に違和感なく入り込むことができます。
しかも、舞台はたまたまボクの住んでいる地域ということもあって、いかにも近所に住んでいそうな人々の話ということで、実にしっくりきます。
登場人物のバックグラウンドが説明されないところも、本編の本筋に集中できて好い感じです。

登場人物の誰もが、ちょっとだけ思うようにならない現状に軽くやきもきしていて、でもそれを強引に打開しようとすることなく誰かと接している。
そしてその相手の話を聞けば、「こうしたら? ああしたら?」とアドバイスしたりして、「大丈夫、なんとかなるさ」となだめたりしている-
今の日本の空気をこんな風にまとめ上げて、意外でもありながらやはりそうなるかとも思えるエンディングともいえない最後の展開へ。
今の日本人以上に日本の今がわかっているというのか、それとも人間の本質は国籍や住んでいる場所には関係ないのか-

タイトルになっているジャズのスタンダードナンバー「ライク・サムワン・イン・ラブ」は、恋をしてふわふわした気分をうたった歌ですが、いつも通りの生活をしている人が、ちょっと人に触れ合いたいと感じてそれが進行し始めた時の浮ついたぎくしゃく感と、それでも平静を装おうとするからなおさらぎこちなくなる- そんな様子がていねいに描かれていて、なんだか、隣人の私生活をちょっとだけ垣間見てしまったような気分にさせられる、そんな不思議な作品でした。

渋谷


映画館を出てきたら、そこは渋谷の駅前。
土曜日の夕方というせいもあるのでしょう、いろいろな人たちであふれかえっていました。
ここにいる全ての人たちに、自分が主演のドラマがあって、そこには必ずささやかな理想とちょっとだけ思うようにならずにやきもきしている面があるのでしょうね。そしてそれは、ボクにも…。


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Re: yuusuke320さま

先を越された、って、またそんな…。(笑

ボクが見に行きたいと思っている映画は、それほど多くはありません。
限られた情報の中から、「大きなスクリーンで観るべき映画」「今観ておくべき映画」、そしてなにより「観たいと思う映画」かを、だいたい直感で判断して、観に行けそうならば行く。そんな感じで映画を選んでいます。

今、頭の中にある映画は、「るろうに剣心」ともう2本ぐらいでしょうか。
それらを果たして観に行くのかは、ボク自身もよくわかりません。

ともあれ、「ライク・サムワン・イン・ラブ」は期待通りの作品でした。
ぜひとも、ご覧いただきたいと思います。

Re: 焼酎学生さま

日本好きで知られるキアロスタミ監督は、世界の映画祭で数々の賞を受賞している巨匠です。
何度も来日中というようなニュースは聞いたことがあるのですが、まさか我が家の近くで撮影までしていたとは…。これにはまた違った意味でびっくりでした。(笑

一見の価値のある映画だと思います。

ぜひ見に行きたい。イクゾー

 金曜夕刊でした。
 「うそ・エゴ・欲…渦巻く/ライク・サムワン・イン・ラブ」の映画評が載っていた。オイラも行こうと思いつつ先を越されました。

 

No title

この映画の成り立ちが珍しいというか、とにかくユニークな映画ですね。
そういえば一流俳優を使わない映画や、ドキュメント映画なども、毎年どこかの映画祭で受賞していますね。
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