小田原・早川のびらんじゅ を見に行く

-東向きの崖下にあるから午前中がお薦め-
あるブログでそんなことを読んでから地図で調べれば、東向きどころか北東向きの崖の様子。
それならば朝にということで、午前8時に小田原駅に到着。
そこからさらにひと駅、箱根登山鉄道の「箱根板橋」という駅に降り立ちました。
小田原に「早川のびらんじゅ」、またの名を「バクチノキ」を、見に行きます。

箱根登山鉄道 小田原駅 箱根登山鉄道 箱根板橋駅


箱根登山鉄道といっても、小田原からたったひと駅。
早川が相模湾に注ぎ込むところに小田原漁港があって、駅の周辺には小田原名物、蒲鉾の工場やら製造直売所などが目につきます。

大窪橋から望む早川下流方向と東海道新幹線


そんな駅を下りて西へ5分ほど、早川を渡ったところに、2007年、ネーミングライツ契約に基づいて日本で初めて企業名を冠した道路となった「TOYO TIRES ターンパイク」(箱根ターンパイク)の入口があります。
ターンパイクは石垣山を緩やかに上って箱根町に向かいますが、ボクはそこから山裾と平地の境目を流れる小川に沿って北西方向へ、住宅地の中に入っていきます。

早川 石垣山


アパートや古い戸建ての住宅や倉庫などと畑が交互に並ぶなんの変哲もない細い道路を、ターンパイクを見上げながら500mほど。
路肩に案内板などがなくて不安になってきたところで、足許に不意にこんな道標が現れました。

早川のビランジュ 道標
早川のビランジュ 道 早川のビランジュ 道


「これは、どこを歩いて行けということなのか?」
道ではなく、水が流れていない排水溝を登りながら進むようです。
これ、雨やその翌日などはムリかも知れないですね。

途中、山道のような石段を横切ったりしましたが、これもよく見れば排水促進のための溝も兼ねているのかもしれません。とにかく、私有地に無断で入り込んで行っている感が強くあります。

早川のびらんじゅ への道 早川のびらんじゅ への道
早川のびらんじゅ への道


ようやくここから先はふつうの石段になり、さらに登ります。
鬱蒼とした草むらを踏み分けていくわけではありませんが、今日はまだ先人がこの道を踏破した形跡はないようです。
不本意な前傾姿勢で進むも、顔には否応なく肉眼では捉えにくい蜘蛛の巣が絡んできて、それを振り払いながらの登坂です。
そしていよいよ箱根ターンパイクをくぐります。

早川のびらんじゅ への道 早川のびらんじゅ への道


これから箱根の山に挑もうとスロットルを全開にしたバイクが頭上を駆け抜け、足許では身体を鈍く虹色に輝かせたトカゲが横切っていきます。

道路から距離的には200mほど進んだに過ぎませんが、どのくらい登ってきたのでしょうか。
ここから先はさらに登りがきつくなるだろうという辺りに、説明板が見えてきて、ついに到着です。

早川のびらんじゅ 説明板

早川のびらんじゅ


早川のびらんじゅ「早川のびらんじゅ」
目通り幹囲:5.2m
株元周囲:約6.0m
樹高:約25.0m
根張り状況:東西20.0m 南北15.0m

灰褐色の樹皮が鱗状になって自然に剥がれ落ち、木肌は赤くなってきます。
それを、皮膚の上皮が破壊されて下の組織が露出する状態、いわゆる“ただれた”状態を意味する「糜爛(びらん)」と捉えて、「びらんじゅ(毘蘭樹)」と名付けられているのだそうです。

また、その樹皮が剥がれていく様子から「ハダカノキ」、木肌が赤くなるところから“赤の木”で「アコノキ」、さらには、賭けに負けて身ぐるみ剥がされるイメージから「バクチノキ」とも呼ばれているそうです。

びらんじゅ自体に剥けている感覚があるのかはさておき、人間はその様子からいろいろなイメージをふくらませて、想像力豊かに名前をつけるものです。
「バクチノキ」という名前から、博徒たちの信仰の対象にもなっていたそうです。

真っ赤でごつごつとしたグロテスクな地肌が印象的な木です。
ボクは2008年の黄金週間に房総でこの木に初めて出会ったのですが、それ以来、「バクチノキ」がなんとなく気になっていて、「早川のびらんじゅ」の存在を知ってからぜひとも見に来たいと思っていた場所がここでした。

箱根ターンパイク脇のこの地は、1590年(天正18年)、豊臣秀吉が小田原征伐の際に“一夜城”を築いた石垣山の麓の位置しています。
このびらんじゅは、樹齢が300年ほどということなので一夜城も太閤の姿も見ていないとは思いますが、もしかしたら太閤の踏みしめた足跡から芽吹いた木なのかも知れません。
太閤にしてみれば勝算100%を確信した上での“一夜城”作戦だったとは思いますが、ドラマチックな戦略はその物語を聞く人たちにとってはいかにも天下人らしい豪快な大活劇で、まさに大博打。
ボクには「早川のびらんじゅ」という呼び方よりも、やはり「バクチノキ」という呼び方の方が合っているような気がします。

振り向けば、ここからの眺めを遠慮なく横切る箱根ターンパイク越しの右の外れに、落城して再建された小田原城がなんとなく見えています。

早川のびらんじゅ からの眺め


びらんじゅ という木そのものを見たいという場合は、足場の悪いこの地ではなく、ここから東に500mほど行った山裾にある海蔵寺への訪問をお薦めします。
その境内にある びらんじゅ は、木肌はごつごつしておらず真っ直ぐ清楚に立ち、周囲にお供え物なども置かれて檀家や周辺の方々から大切にされていることがうかがえます。
海蔵寺は、小田原征伐の際の豊臣秀吉方の武将で、戦下で疫病を得てこの地で若くして急逝した堀秀政が埋葬されているお寺でもあります。

宝珠山 海蔵寺
海蔵寺のびらんじゅ


このあと、小田原漁港に出て新鮮な海産物にありつくのも好いですし、箱根や湯河原に向かって日帰り温泉につかるのも好いと思います。
夏の暑い日々を乗り越えたこれからの季節、都心からのワンデイトリップにちょっとお薦めの場所でした。




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Re: 焼酎学生さま

今回、朝のびらんじゅから夜の大文字焼までを一日で楽しんだわけですが、箱根登山鉄道に乗ったのはボクも大学の卒業の年以来ですから、20数年ぶりでした。
日光も数年前に関西出身で日光には行ったことがないというカミさんを初めて連れて行きましたが、あれも小学6年の修学旅行以来でしたから、ボクにとっても箱根と日光は近くて遠い存在です。

登山電車は改めて記事化してみたいと思っていますが、改めて気に入りましたね。
ぜひとも乗車してみてください。
乗るならば、平日をお薦めします。

さあ、次はなにを見に行きましょうか…。

行きたいところばかり

僕にとって近くて遠いのが、箱根、日光です。
箱根へは車で富士山撮影に行きましたが。
登山電車に一度は乗ってみたいものです。
それにしても、I.Z.さんの連日の行動力はすごいですね。
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こまめというわけにはいきませんが、ちょっとしたことを書き記してみます。

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