有川 浩 著『阪急電車』

有川 浩 『阪急電車』単行本が新刊として書店店頭に平積みされていた時から、「読みたいなぁ」と思っていた一冊。
なぜか、結局、文庫化されて、映画化も決まってしまうまで読まずにおりました。

「阪急電車」といっても、舞台はさらに局地的に、 阪急今津線
それも、全線で9.3kmのうち、「西宮北口」駅で分断された北側の区間、「宝塚」駅と「西宮北口」駅の間の7.7km区間に走る、何気ない一本の電車に乗っている、ふつうの人たちのストーリーを集めた一冊です。

“電車に一人で乗っている人は、大抵無表情でぼんやりしている”。
言われてみればそのとおりのことですが、そこを突いて掘り下げる作者の感受性と想像力。
冒頭の一文からはっと気づかされました。
全世界で69億人、日本だけでも1億2700万人あまり。
ひとりひとりは大同小異のちっぽけな存在なのかもしれませんが、そのそれぞれは、ひとりひとり自分自身にとって代役を立てられない主役。
ひとりひとりにそれぞれのストーリーがあるわけです。
そんなことを、大阪平野の西の端を走る電車を舞台に描いているのが、この小説です。

舞台になっている阪急今津線は、ボクにも縁のある路線。
沿線風景を描写した部分など、見て知っている部分もあって、なかなか楽しめました。

本編では“えんじ色”と書かれていましたが、鉄っちゃんの間では“阪急マルーン”として知られている阪急電車。
今どきは、ステンレスやアルミの地肌そのままで無塗装の多い電車が主流になっていますが、マルーン一色に塗られた今津線の電車は、駅に到着するだけでもなんとなく品があって、お洒落な雰囲気が漂います。

そんなマルーンの電車に、しばしの間、思いを馳せた一冊でした。

阪急今津線
阪急今津線 仁川駅にて (2008年12月31日)

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Re: yuusuke320さま

レスが遅くなりました。

有川 浩氏の作品は、なかなか読みやすいわりにはムリに引き回すこともない良い文章だと思いました。
今回初めて読みましたが、また何か読んでみたいと思います。

鉄道小説って、意外と興味が湧かないんですよ、なぜか。
ですから、西村京太郎作品など、一度も読んだことありませんし…。
以前、記事にした石田千著 『踏切趣味』
http://mumuiz.blog40.fc2.com/blog-entry-1622.html
みたいに、鉄道のある風景みたいなものが的確に描かれている作品がいいですね。

そのうち、“鉄道がわりとひんぱんに映る映画”、作りましょうか。(笑

Re: TOMOさま

レスが遅くなりました。

あ、西北が最寄り駅でしたか。
でもまあ、今津線は乗らなければ乗らない線ですよね。
ボクも、今津線は利用しますが、甲陽線や伊丹線には乗ったことないですからね。
でも、たまには乗ってみてください。
神戸線よりちょっとだけ古い電車が、好い感じですよ。

Re: まんがいんくさま

レスが遅くなりました。

ボクはけっこう“カラスの行水”な方なので、お風呂で読書はムリそうです。
どぼんの危険性もないわけです、はい。

ほかにもこんな本が。

 有川浩氏(女史)はオイラも注目している作家です。
 「自衛隊3部作」おもしろかったです。
 鉄道小説数多くあれど、ミステリー以外では、
    阿川大樹氏の「D列車でいこう」
    原宏一氏の「東京箱庭鉄道」
   2010.10.14  鉄道映画は誰が見る?
   http://yuusuke320.blog115.fc2.com/blog-entry-1275.html

 をお勧めします。 (相変わらずのオイラPR)



No title

西宮北口は最寄り駅なのですが、
ナカナカ今津線には乗る機会がないです~。

阪急電車はお上品な街を通ってるせいか
乗ってる人もお上品な人が多い気がしますっ。(笑)

No title

ときどき、ドボン、します。
お風呂は危険です

Re: まんがいんくさま

阪急電車は、電車そのものだけでなく、沿線の雰囲気もなんだか好いような気がして、好きですね。

あ~、お風呂で読むのも、良いかもしれないです、この本は。
ボクはまだ、お風呂で読書ってのは試したことはないのですが。

No title

弟宅が阪急沿線なので(といっても駅からずいぶん離れてますけど^_^;)、京都に行くときに阪急電車に乗りましたよ。電車の中で読もうと思ってこの本持っていったんだけど、つもる話やら、眠いやらで結局読みませんでした。

今度お風呂の中ででもじっくり読みます。
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