三岐鉄道 北勢線

出張の用事が明るいうちに終わったので、そのまま自宅にトンボ返りするのももったいないので、ちょっとだけ鉄分を補給に。三重県北部、桑名市の玄関、桑名駅に降り立ちました。桑名駅には、JRの関西線と近鉄名古屋線の他に、元は近鉄の路線だった現養老鉄道の3本の鉄道路線が発着しています。そしてその東口から線路沿いに200mほど行ったところ、駅前広場からみれば同じ駅の構内としか見えないところに、三岐鉄道北勢線(さんぎてつ...
踏切道 益生第4号



横浜に帰りつける時間までには、まだちょっと余裕があったので、北勢線の電車に乗ってみることにしました。
北勢線 西桑名駅 北勢線 西桑名駅

北勢線は、西桑名駅から員弁(いなべ)郡 東員(とういん)町を通って、いなべ市の阿下喜(あげき)駅までの20.4kmの区間を、およそ50分かけて走っている軽便鉄道です。
1914年に北勢鉄道として開業してから、三重交通や近畿日本鉄道に統合されて運営主体が変わってきましたが、2000年に当時の近畿日本鉄道が路線廃止を表明し、2004年に員弁(いなべ)川をはさんで対岸を走る三岐鉄道が運営を移管されて、現在は三岐鉄道 北勢線として走っています。

全線を往復するだけの時間的余裕はなさそうでしたので、ポケットから出した小銭入れを開けてすぐに見えた硬貨数枚をキップの自動販売機にばらっと投入して、キリの良かった300円のボタンを押してみました。
電車の出発時刻が迫っているようでしたので、運賃表をちらっと見て、300円で行ける「星川」という駅まで乗ってみることにしました。
西桑名駅に停車中の北勢線電車線路一本にプラットフォーム一面の構内に停まっていた電車は、ワンマン運転の270系、3両編成。
思いの外近代的なデザインの車両は、当時の近畿日本鉄道が北勢線近代化のために1977年に製造したもので、狭い車両幅に対してやや長すぎる感のある車体が印象的です。イエローにオレンジの裾というボディカラーは、三岐鉄道のCI(コーポレート・アイデンティティ)で、以前は近鉄の標準色である栗色一色に塗られていました。
後年、冷房化や高速化の改造も受けて、現在は最高速度時速70km/hという、意外と近代化されている車両のようです。

北勢線車内時刻はおよそ5時半。車内は、会社帰りの人たちや夏休みの部活帰りの学生の姿が多く、座席はほぼ埋まっています。
この画像で、車幅が狭いのがよくわかると思います。対面で座っている人たちの間を歩いて抜けるには、ちょっと勇気がいる間隔です。
天井にはつり革が2列用意されていますが、この通路では大人が背中合わせで立つことは不可能でしょう。

西桑名駅 出発定刻の午後5時35分に出発。
もともと聞こえていた冷房の機械音に加えて、吊りかけ式モーターの唸る音が車内に響きます。
この車両が造られた頃には近代化は始まっていて、標準サイズの電車であれば近代化されていたはずの駆動装置ですが、これは軽便車両のこと、吊りかけ式モーターが旧型車両から移設されたのかもしれません。

益生第4踏切通過想像していたよりも加速が良くて、撮りたかった「益生(ますお) 第4号踏切」は、あっというまに通過してしまいました。
おかげでブレブレ写真に…。
「益生 第4号踏切」というのはこの踏切の近鉄線の部分の名称で、北勢線での正式名称は「西桑名 第2号踏切」というのだそうです。


JR線と近鉄線を越える線路はその先から築堤に登り、そのまま西の方向に進路を変えると、駅を出た時には並走していたJR関西線と近鉄名古屋線をオーバーパス。
「益生 第4号踏切」では4本の線路があったはずのJR関西線ですが、ここではもうすでに単線になっています。(画像右端の線路)

馬道駅で交換築堤を降りたところに最初の駅、馬道(うまみち)駅 がありました。
ここでは、西桑名行きの電車と交換します。

西別所-蓮華寺間のS字カーブボクが勝手に想像していた田園風景とは異なって、意外にも電車は住宅地の間を進みます。
農地がないわけではないのですが、思いの外、沿線には住宅が、それも比較的最近建て替えられたような家々が並んでいて、電車はそんな中をくねくねとうねりながら進んでいきます。


在良駅で交換馬道駅から三つ目の 在良(ありよし)駅 でも西桑名行きの電車と交換します。
夕方の帰宅時間帯への対応ということでしょうけれど、電車は比較的頻繁に運転されているようです。


星川駅到着西桑名駅を出てから13分、目的地の星川駅に到着しました。
西桑名駅同様の、単線の線路にプラットフォームが1本という配置の駅ですが、なんとなく新しい駅という印象の駅です。

星川駅改札を出て駅舎を見た様子です。
後日調べてみたところ、この駅は2005年に新しく開業した駅とのことでした。
駅は、大型のスーパーマーケットや書店が並ぶロードサイド形のショッピングセンターの広大な駐車場に隣接して設けられていて、交通弱者の買い物への利便性が図られています。

星川駅から西桑名方面を望む
軽便鉄道の旅にノスタルジーを求めてこの北勢線に乗ってきましたが、廃止騒動を経て復興を期すこの路線では、めったにしか来ない旅行客よりも毎日利用してもらえる地元の利用者に向けた対策がしっかりと進められているようです。
線路幅こそ“軽便”の765mmという華奢なものですが、架線柱は木製のものからコンクリート製に交換され、保安装置も近代化されているようです。

200系電車時刻表通り、7分後にやって来た西桑名駅行きの電車は、先ほどの下り電車よりもさらに長い4両編成の200系。
西桑名駅に到着して折り返す時刻が午後6時半頃になる便ですので、ふだんの日ならば最も混む便ということなのでしょう。
近代化された線路や駅も頼もしく感じられましたが、この4両編成が満員になる様子を想像してみても、これまたなかなか望ましい姿です。

阿下喜駅までの全線を乗ることができれば、ノスタルジーのひとつも感じることができるのでしょうけれど、全線20.4kmのうちの1/4、桑名市中心から5km程度の距離ではまだまだ桑名のベッドタウンなのでしょう。
思っていた以上に、ふつうの住宅地でした。

次回、また桑名に行く機会があるようならば、今度は終点まで乗ってみることにしたいと思います。
なんといっても、この北勢線と、桑名の隣町の四日市から出ている近鉄内部(うつべ)・八王子線だけが、現在、日本全国で通年で乗ることができる軽便鉄道なのですから。
今のところ、廃止される心配はなさそうですが、安全第一を目的におこなわれる近代化は、味のある旧式の設備を新しいものに代えてしまうこともしばしば。
古き良き日本の姿を見たいのであれば、なるべく早めに出かけて乗ってみるのが好いのでしょう。
また乗りに行きたいと思いました。
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