日本左衛門 首塚

河竹黙阿弥の『青砥稿花紅彩画』 (あおとぞうしはなのにしきえ)が、ボクが子どものころに初めて見た歌舞伎です。
『白波五人男』という別名の方が素人には有名な作品で、駿河や遠州を中心に東海道を股に掛けた五人の盗賊の話でした。
稲瀬川勢揃いの場という場面で五人が並んで掛詞などを交えて七五調で気っ風好く名乗りを上げる様子は、いまだに記憶に鮮やかに残っています。


三代目市川猿之助が演じる主演の女装の美男子弁天小僧菊之助よりも、ボクには片岡孝夫 (現:十五代目片岡仁左衛門)演じる盗賊の頭目、日本駄右衛門 (にっぽんだえもん)の方がカッコよく感じられました。
その日本駄右衛門だけは、実在した人物を基に書かれたのだそうです。
そのモデルとなった日本左衛門 (にっぽんざえもん)の首塚が、蒸気機関車に牽かれる客車の休む新金谷駅裏側の古いお寺、宅円庵の境内にありました。


日本左衛門は、当時の人々としては背が高く派手な衣装と合わせて豪快なイメージの人物だったようです。
盗賊とは言いながらも、金持ちから金品を奪って貧しい人々に配ってしまうような“義賊”だったとのこと。盗みはするが非道はしないという身上や権力に反発する豪傑というところが人気を呼んで、歌舞伎のモデルにも取り上げられたのでしょう。
幕府に追われ逃亡していたものの逃げ切れず京都で自首して、江戸で処刑され、根城としてた見付宿(磐田)でさらし首にされていたところを、ここ金谷宿在住の愛人おまんがこっそり持ち帰り、ここに葬ったのだそうです。
以前紹介した国定忠治と同じ、反骨の正義漢というところに、とてもロマンを感じます。さらに、首を持ち帰る愛人の胸中も察するにあまりあるロマン…。

歌舞伎では、その手に持った番傘に染め抜かれた 志らなみ の文字が、舞台で優雅に踊っておりました。


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