静岡鉄道に乗る

今月の18日は、以前から楽しみにしていた、岳南(がくなん)鉄道『電気機関車祭り』に、静岡県の富士・吉原まで行ってきました。
《ここからのつづき》 岳南鉄道『電気機関車祭り』…その3
《そのまえのはなし》 岳南鉄道『電気機関車祭り』…その2
《おおもとのはなし》 岳南鉄道『電気機関車祭り』…その1

《“その3”とこのはなしの間のはなし》 ガンダム静岡に立つ!!
《スピンオフのはなし》 吉原商店街『つけナポリタン』



昨年のうちに終わらせることのできなかった、富士-静岡旅行記。
これで一応、最終回を迎えます。
日帰りだったのに、報告は長くかかったなぁ…。

静岡鉄道 長沼駅「静岡ホビーフェア」会場で等身大ガンダムを眺めたあとは、会場裏手にまわって、静岡鉄道「長沼」駅へ。
ここからこの日最後のお目当て、静鉄(しずてつ)の電車に乗って、清水と静岡の間を往復します。

静岡鉄道 長沼車庫静岡鉄道は、1950年代には東は清水市内から、西は袋井や浜松の近くまで広がる鉄道網を誇っていましたが、1960年代以降のモータリゼーションの進行や災害の影響などによって廃線が相次ぎ、今ではこの新静岡-新清水間の「静岡清水線」11.0kmのみを営業する鉄道会社です。

そう言ってしまうと、なんだかこの路線も乗客の少ない地方ローカル私鉄のような印象を持ってしまいますが、実際に乗ってみるとその印象は大きく異なります。


静岡鉄道1000系「長沼」駅で車庫を眺めてしまったので、上の画像の通り、新清水行きの電車を一本見送ったのですが、キップを買って改札口に入ると、程なくして次の電車がやってきました。
この日は土曜日曜のダイヤでの運行でしたが、朝7時台から夜の7時台まで6分間隔で電車が運行しており、平日の時刻表では通勤時間帯にさらに本数が増えるようなダイヤが組まれています。
東京や大阪を中心とした大都市圏の主要路線にも等しい本数の電車が運行しているところ。これは静鉄電車が他の地方鉄道と違う特徴のひとつと言えるでしょう。

静岡鉄道1000系到着したのは2両編成の1000系という車両。
この路線では電車は全てこの2両編成の1000系に統一されており、バリエーションがないので趣味的には興味が湧きにくいところですが、電車を走らせたり、毎日利用する立場からは常に同じ形の車両が走っていることは合理的だと思います。
会社としては緊急時にも代替車両が用意しやすいメリットがありますし、利用する側からすれば常に同じ形の車両が来るのであれば使い勝手はよくなるでしょうし、乗り心地も常に同じということになるでしょう。
正面のデザインも、シンプルながらちょっとモダンで好い感じではありませんか。
ちなみに、この電車の側面デザインは、東急電鉄の7600系(旧7200系)と同一。

静岡鉄道1000系 《参考》東急電鉄7600系(旧7200系)
〔左:静鉄1000系/右:東急7600系〕

これは過去に静鉄が東急グループと縁が深いことにも起因しているようで、同じデザインを使用することによって制作コストが抑えられるというメリットが考えられます。

静岡鉄道 車内からさて、電車に乗り込んで、しばし“線上カメラマン”。
出発した電車は、住宅街の間に敷かれた複線の線路を快適に走っていきます。
新静岡から新清水までの間の全線が複線であるというところも、静鉄の特徴のひとつです。

静岡鉄道 車内から単線でなく上下線のすれ違いが自由にできることで日中6分間隔という高頻度の往来が可能になっています。
路線自体はJR東海道線に沿って走っていますので、両者は完全にライバルになるはずなのですが、JR東海道線が静岡-清水間に中間駅は2駅しかないのに対して、静鉄は13駅あり、両都市中心部間の速達にはJR、街のちょっとした移動には静鉄と、完全に棲み分けがなされています。

静岡鉄道 車内から赤富士また、静岡と清水のどちらも、JRと静鉄が同じ駅から発着しているわけではなく、静鉄はそれぞれ「新静岡」「新清水」という独自のターミナルを街の中心部に構えているところも強みなのだと思います。

時刻は夕方の5時近く。夕暮れを直前に、前方左側に“赤富士”が見えました。


静岡鉄道 JR東海道線を走る貨物列車とすれ違う地図上で静岡と清水の間を並走する静鉄ですが、実際に「狐ヶ崎」駅の西側から「入江岡」駅までの2kmほどにわたってJRの線路と完全に並んで線路が敷設されています。
これは実際にJRの貨物列車とすれ違うところ。
1950年に発生した東海道線の貨物列車脱線事故の際には、画面右側の上り線と東海道線の線路をつないで、東海道の大動脈が長期不通になるのを回避させたとのこと。
ライバルとはいえ、乗客のため、社会のためには手に手を取り合うというエピソードのある区間です。


静岡鉄道 桜橋駅に進入静鉄全駅の中で4番目に乗降客数が多いという「桜橋」駅は、狭いスペースでもたくさんの乗降客が乗り降りできるよう、上下線のプラットフォームを分けて千鳥に配置してあります。
サッカーで有名な静岡市立清水商業高校(旧 清水市立商業高校)の最寄り駅。
元全日本キーパーの川口選手や、先日のアジアカップ決勝でピッチサイドからの情報を伝えていた名波氏も、ここからこの1000系電車に乗ったのでしょうかねぇ。


静岡鉄道 入江岡駅を出発「入江岡」駅を出たところで東海道線から離れて、終点の「新清水」駅までのひと駅区間はふたたびオリジナルの線路に。

静岡鉄道 新清水駅を前に転線ほどなく、大きなクロスポイントがあって、ボクの乗った電車は上り線に転線。
「新清水」駅の手前ではカーブや踏切がある都合上、転線させる施設が設けられなかったようで、駅から200mも手前のここで転線します。


静岡鉄道 巴川を渡る川幅50mほどの巴川を右側通行で渡って、終点「新清水」駅に到着です。

静岡鉄道 新清水駅2本の線路の間にプラットフォームがある“島”式で、一番線側だけに降車専用のプラットフォームのある、小振りで良い感じを醸した終端駅です。

走る電車はたったの2両編成でも、全線複線であったり、日中6分間隔の運行であったり、自動改札や非接触型ICカード方式の乗車カードの導入など、とても地方中小私鉄とは言えないような静岡鉄道。
“走っていれば利用する”という需要と“利用者がいるから頻発させる”という供給がうまく合致していて、理想的なイメージです。
そのむかし、つぎつぎやってくるから気軽に乗れるということで首都圏の通勤電車は“ゲタ電”と呼ばれていたそうですが、今ならさしずめ“スニーカー”といったところでしょうか。

新静岡まで乗った帰りの電車では、途中駅の「県総合運動場」駅から、そんなスニーカーを履いた高校生アスリートたちがたくさん乗ってきて、土曜日だというのに夕方のラッシュアワーとなったのでした。
この電車に乗り合わせた若者の中から、また国際的に活躍するようなアスリートが出てくるのかもしれません。
そんな風に考えていたら、今日一日歩き回ってかなりくたくたになっていたのですが、なんだかちょっと気分がスッキリして活力が湧いたような気がしてきました。

ちょっと、なんかいいぞ、静鉄。

静岡鉄道 新清水駅 静岡鉄道 新清水駅


《このシリーズは終了》
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