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『ミッドナイト・ラン』で思い出したこと

この記事にいただいたvickeさんからのコメントにあった映画『ミッドナイト・ラン』で思い出したエピソードをひとつ。

千曲川で遊んだこの日の夜は、小淵沢の駅のそばで泊まることにしていました。
リバーランドのある海ノ口から野辺山、清里を通って、甲斐大泉近辺のお店で夕食を食べた後、さあ小淵沢に向かうぞというところで、どうやらボクは道を間違えてしまったようです。
1998年型の我が家のクルマには、カーナビなどというものは搭載されておらず、いつも1/100,000のロードマップを頼りにドライブを楽しんでいるわけですが、さすがにその縮尺では細かい道までわかるわけではなく、しかも周囲には目印になるものもあまり見あたりません。標識を見ながら軌道修正をしようと思ってクルマを進めていました。
時刻は8時をまわり、もちろん辺りはもうすっかり真っ暗になっています。
JR長坂駅周辺の中央高速道路近辺を走っていることだけはわかっています。
やや遠回りになっても仕方ないから、国道や県道レベルの"大通り"に出たいとだけ思って走っていました。

八ヶ岳の裾野が富士川の上流、釜無川向かって作り出している広大な斜面を、真っ直ぐ下りていくように続く道路は、意外にも沿道の住宅が途切れません。大きな工場の間を抜けて、住宅街の中に向けて道路はさらに続いていました。
それでもついに細くなってきたなと思ったころに、たまたま見かけた、ワンコを散歩させている女性の方に道を訊いてみることにしました。

「すみません。小淵沢の駅に行きたいんですが、道がわからなくなってしまったものですから…」
運転席の窓ガラスを開けて、声をかけてみました。

「あー、小淵沢の駅ですねぇ」
メガネをかけた細面の、たぶんボクたちとそれほど年の差のないその女性は、気さくに応えてくださいました。

「あらまー、どう説明しようかしら…」
「あ、地図はあるので、目安になるところを教えていただければ…」
女性は地図をのぞき込み、キャバリエがボクの顔を見つめています。
「あらまー、どう説明しようかしら…」

巾の狭い道路の真ん中にいきなりクルマを停めたまま訊ねていたので、ボクやカミさんもこの女性にあまり悩まれてしまっても困るなぁなんて思いながら、とにかく何らかの判断を待ちました。
そして地図帳のページをめくったり見返したりしながらあれやこれやとなかなか答えに結びつかない会話を続けていると、突然その女性がこんな提案をしてきました。
「ややこしいので、途中まで私のクルマで先導しますよ」
「え!? そんな…」
「いいんですよ。やっぱりちょっと説明しにくいですし」
カミさんもボクもそれは悪いからとお断りの言葉を並べてみたのですが、道を訊ねた所はホント、その女性の自宅の前だったんですね、後続のクルマが来たのをきっかけに、ボクにUターンするように指示を出すと女性は自宅の玄関先に停めてある軽のワゴンのドアを開いてキャバリエをぽいっと放り込み、自分も運転台に乗り込んでエンジンをかけました。

女性の運転する軽ワゴンの後を、先ほど走ってきた道を延々戻りました。
途中に信号機などないものですから、女性がどんどん走るのに、ひたすらついて行きます。
住宅街を進み、工場の間を通り抜け、けっこう狭い道路でも女性はかなりの速度を保ったまま走り抜けます。ボクもちょっと無茶をしながら後を追います。
やがてある信号までたどり着いた時に、その手前で標識が出ているのが見えました。
-小淵沢は左折。

対抗する方向から来た時に、この信号を右折すればいいことを見落としたのでしょう。
これでわかりました。ここを左折すれば小淵沢に行けるわけです。
信号待ちを利用して、ボクはクルマを降りて軽ワゴンのあの女性にお礼を言いに行こうとしました。
すると信号が変わってしまい、女性は左ウィンカーを出すとぴゅーっと左方向に曲がっていってしまいました。
ボクは慌ててクルマに戻ると、大急ぎで軽のワゴンを再び追い始めました。

緩い右カーブを駆け抜ける軽ワゴンの運転台の窓から、キャバリエが顔を出しています。ふわふわの毛で覆われた耳をぱたぱたとなびかせて、風を楽しんでいるようです。
(でも、ホント危ない…)
昼間ならばきっともう少し風景を楽しむこともできるのでしょうけれど、今は夜ですし、とにかく猛スピードで集落の中心を貫く生活道路を駆け抜けなければなりません。

そのようにして走ること20分ほど、軽ワゴンは信号のある十字路の角にあるコンビニの前に右折して停まりました。
「ここからちょっと進んだところが駅ですから!」
ボクたちがお礼を言って、カミさんが自宅用に買ったお土産のひとつをお礼として渡すとむしろ恐縮されてしまって、「どうもすいません」なんてどちらのセリフだ? なんて思っているうちにキャバリエを載せた軽ワゴンは、今来た道を猛スピードで戻っていきました。

ボクたちは10km近くの距離を先導していただいたのでした。
左折すれば小淵沢だとわかったあの交差点からは5km以上。あの時のキャバリエを連れた性の方、ホント、ありがとうございました。いろいろな意味で楽しかったです。あんな形でしたが旅先で地元の方と触れあえた(?)ことも楽しい貴重な経験でしたし、意外なことから経験した信州・長坂-小淵沢タンデム走行も楽しかったです。この場を借りて、御礼申し上げます。


この画像が翌朝の小淵沢駅です。
この通り、無事にたどり着くことができました。

ボクたちは、『ミッドナイト・ラン』というにはまだちょっと早い時間ではありましたが、クルマによるランを楽しみました。
いつもより気持ちちょっとアクセル踏み込みめのボクと、軽ワゴンの運転席の窓から頭を出したキャバリエが心配だったボクのカミさんが、そんな車中でもうひとつ思い出していたのは、長嶋有という作家の直木賞受賞作のタイトルでした。
それは、こんなタイトルです。
『猛スピードで母は』



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