四十年近く放置されていた電車を見に行く

ボクが耳にしたいくつかのうわさ話ですのでそれぞれその真偽のほどはわかりませんが、まとめ直して物語にしてみますので、絵空事と読み飛ばしていただければと思います。

何十年か前のこと、子どもたちのために地元にゆかりの電車を展示しようと埼玉県の川口市の児童施設が考えたのだそうです。
川口といえば国鉄時代から京浜東北線沿線の街。
現在展示してあるかつて東北線で活躍していた蒸気機関車の隣に、親しみのある京浜東北線の電車を置いて、楽しんでもらおうということになりました。
そこで、担当者はさっそく電車を譲り受けるために動き出しました。
川口駅を通過してしまう東北線ではなく、慣れ親しんだ京浜東北線の電車を…。
簡単には見つからなかったのですが、見知らぬところから格安で手に入れられそうだという情報。担当者氏は飛びついて、晴れて展示ができる運びとなりました。

施設への搬入当日、トレーラーに載せられてやってきたのは、なんだかちょっと小振りの見慣れない赤い電車でした。
「なんだ、これ?」
誰もがそう思ったその電車は、京浜急行という私鉄で活躍していたデハ230形236号車という車両で、長年活躍してきましたが後進の新型電車と入れ替わりで引退したものだったのでした。

それでも236号は児童施設では大切にされてきました。しかし後年、地方自治体の統廃合や業務内容の見直しに伴って児童施設が廃止されて管理者が代わると、管理保存が行き渡らなくなってしまい、錆や腐食、損壊などは補修されることもなく放置されるようになり、荒廃が急速に進んでしまいました。
それを受けて一旦は解体に向けて予算が計上されたようですが、それすら凍結され、ただ放置されて自然に朽ちていくのを待たれているだけという状態に陥ってしまいました。

236号をなんとかしてほしい。
ファンの間などからは心配して先行きを危ぶむ声が上がっていました。
されど、京急線とは縁のない地のこと、ファンはなんともやりきれない気持ちでいたのだそうです。
縁もゆかりもない地に連れてこられて、結局はさほど親しまれもせずに、保護や管理もされない状況に置かれてしまった236号…。
自治体にしてみれば長さ16mの巨大な産業廃棄物を公園内に放置していることになるわけですから、それは解消しなければいけません。
そこで昨年夏、公募で引き取り手を探すことにしたのです。

それからおよそ2ヶ月、ファンには素敵な展開がもたらされることになりました。
2019年秋に東京都内から移転して横浜市のみなとみらい地区に建設を予定にしている京急グループの新本社ビル、その1階で展示・保存していきたいと名乗りを上げたのです。
そうです。京急に返り咲くことになったのです。

今年4月、京急は正式に236号を整備し、復元をすすめる予定だということを表明。
そしていよいよ今月下旬、236号は40年近く過ごした埼玉県川口の地を離れてふるさと横浜に戻り、ようやくきれいな姿に戻してもらえることになりました。

縁もゆかりもない土地に引き取られて、ホントかどうか真偽のほどはわかりませんが、さほど親しまれることもないまま、あとは朽ちて崩れ落ちる日を待つだけという状況まで追い込まれながら、ぎりぎりのところで生みの親に救われた236号。

京急230形 236号


京急230形 236号 京急230形 236号

京急230形 236号 京急230形 236号

京急230形 236号 京急230形 236号

京急230形 236号 京急230形 236号


写真は5月21日朝の姿。
むかしの電車は駆動系などの足回りと車体の更新時期が異なるものが多く、つまり、車体はそのままに台車やモーターなどだけを新しくしたり、その逆に台車や床下の電機部品はそのままに車体を載せ換えるなどということが頻繁におこなわれていました。
この236号も例外ではなく、元を正せば車齢は80年近くにもなる車両で、その間、車体も足回りもちょっとずつ手を入れられて最初の引退までの約40年間、公共交通の大黒柱として活躍してきました。
それまではメンテナンスを受けていたのです。そしてその後のメンテナンスが受けられなくなっておよそ40年。
工業製品としての役目を終えてから40年。そして空白の40年を経て今度は産業遺産として再起する236形。
どこまで整備されて復元されるのでしょう。
新本社に展示された折には、ボクもその再生された勇姿を見に出かけてみたいと思っています。
実はボクはこの車両が現役で線路上を往来していた時代のことは知らないのですが、どうかきれいに修復されて、今後は末永く保存されていくことを願ってやみません。

台湾の “巡道車” を見に行く

横浜の原鉄道模型博物館に、台湾から鉄道車両が運ばれてきて展示されているというので見に行ってきました。

台湾製糖 巡道車 111号


原鉄道模型博物館 と友好議定を締結している、台湾 高雄市立歴史博物館との企画の一環で、台湾糖業股份有限公司の烏樹林工場内で動態保存されている車両なのだそうです。

かつてより台湾の一大産業であるサトウキビ栽培と製糖。
農園と工場の間に軌道の幅が標準軌の半分である762mm幅の鉄道を敷き、小さな蒸気機関車がサトウキビを満載したトロッコを何両も牽いて輸送していました。
農園ごとに私有の鉄道として敷かれていて、機関車はアメリカや日本から輸入し、貨車や客車は製糖工場内で製造されたものも少なくなく、実にバラエティに富んでいたのだそうです。

台湾製糖 巡道車 111号

台湾製糖 巡道車 111号

台湾製糖 巡道車 111号

台湾製糖 巡道車 111号

この111号も台湾糖業の蕭壠(現佳里)工場で1921年に造られたもの。
長さ3.5m×幅1.8m×高さ1.7m、古い駅の待合室みたいな木製車体のこの気動車は、台湾の中で現存する最も古い巡道車なのだそうです。
“巡道車” とは、“巡回車” と訳されていますが、鉄道の見回り検査などに使用される車両のこと。日本の形式でいうならばJR(旧国鉄)風に “キヤ” といった感じでしょうか。
産業用の鉄道ですから旅客用の車両は基本的には所有しておらず、そのため人員を載せるだけのこういった機能本意の車両が生み出されたのだろうと思います。

台湾製糖 巡道車 111号

車内は、ほぼ中央に床からにょっきりと変速ギアのレバーとブレーキのハンドルが立ち上がっていて、おそらくアクセルはエンジンカバーの辺りにペダルがあるのでしょう。
定員12名と車体の側面に記されていますが、乗り込んだ12名の作業員たちのほぼ真ん中に運転手が低い天井に身をかがめながら立つか、ロングシートの真ん中辺りに他の作業員たちと並んで座って、進行方向の窓越しに前方を見ながら操縦していたのだろうと思います。
どちらにしても、フロントガラスからは奥まった位置での操縦ですから、定員以上の作業員や一般客などは載せられないですね。
雨の多い台湾ですが、フロントガラスにはワイパーがありません。

今でも台湾では製糖工場は稼働していて、またこういった鉄道車両たちが活躍していた糖業鉄道を保存して観光用として一般公開しているところも少なくありません。
台湾には、九份や淡水、日月譚、阿里山など訪れてみたい場所がたくさんありますが、こういった糖業鉄道も体験してみたい観光地のひとつです。
一回は訪れてみたい台湾。またひとつ、魅力を見せつけられてしまいました。

台湾製糖 巡道車 111号

※文中、台湾の地名などは読み方表記がわかりませんでしたので、注釈は省きました。ご了承ください。


江ノ電 の線路

江ノ電、併用軌道区間の線路。
車体が小型であったりこの併用区間の存在から路面電車や軽便鉄道などといった印象を強く持たれている向きのある 江ノ電 ですが、全線単線の営業路線ながら早朝から深夜まで上下線とも12分間隔の高頻度で電車が往来する立派な地方鉄道です。

江ノ電 併用軌道区間


併用軌道の区間でも一般的な路面電車で使われている溝付きレールなどではなく、重量の大きい普通レールを使用して、観光鉄道や地元の足としてのヘビーデューティーを支えています。
働く軽トラックのヘッドライトを映して太く輝く江ノ電の鉄路が、美しい。
カーブの向こうから、間もなく次の電車がやって来ます。

『ポムポムトレイン』 を見に行く

渋谷駅前 ハチ公前広場
東急 初代 5000系 カットボディ静態保存車両
誕生20周年を迎えた「ポムポムプリン」とのコラボレーションによる 『ポムポムトレイン』

ポムポムトレイン


今風に言えば “ゆるかわ” なデザインの「青ガエル」の姿はそのままに、線路上を走る鉄道車両では到底無理な “ふわもこ” な手触りのラッピングに、大きな正面ガラスに貼り込まれた、この時期ならではのイラスト。

ポムポムトレイン

ポムポムトレイン

ポムポムトレイン


全体像を撮影したくて早朝に出かけてみましたが、さすが渋谷は眠らない街。
早朝から多くの人たちがこの電車の前で記念撮影をしたり、“ふわもこ~” な感触を楽しんだりしていました。
そんな時刻ゆえに扉は開放されておりませんでしたが、車内では乗車記念スタンプを押すこともできるのだそうです。
このイベントはハロウィーン期間限定で、11月1日(火)まで。

ポムポムトレイン
ポムポムトレイン


鉄道ファンとしては “魔改造” 的と批判をされる向きもあるかもしれませんが、ボクはこういった遊びも “あり” だと思っています。
先般報じられた車体への落書きを防止する方法として警備するスタッフを増やすことも考えられますが、そんな物々しい状況を生み出すよりも、こういった形で逆に注目させる施策の方が通行人もいつもとは違うということで楽しむことができる-
そんな前向きな策の方が、みんなの笑顔が増えるような気がしませんか?
ハチ公前広場の東急 初代 5000系、もはや線路の上にいる電車ではない、いわばひとつのインスタレーションなわけですし。

ポムポムトレイン


気動車の行き交う様子を見に行く

都内での野暮用を昼過ぎまでに済ませて、その足でちょっと遠出。
利根川を越えて、気動車の行き交う様子を見に行ってきました。

出発時の力強いエンジン音、電車とは違うとてもゆっくりとした起動。
真上に吹き上がる黒煙とその匂い。
架線のない世界、広い空、どこまでも続く複線の線路。
鎮守の森のような線路沿いの高い広葉樹、その向こうに見える隣の駅…

関東鉄道 常総線

関東鉄道 常総線

関東鉄道 常総線


関東鉄道 常総線

関東鉄道 常総線

関東鉄道 常総線

関東鉄道 常総線

関東鉄道 常総線

関東鉄道 常総線


関東鉄道常総線
今回は取手駅から守谷駅までのわずか10km弱の初乗車でしたが、それは日本の鉄道の原風景というものとはまたちょっと違った、関東鉄道独自の世界なのだろうと思います。
ボクにとっては異空間とさえ感じられるものでした。

残る、終点の下館駅までの残り約40kmも、いつの日か制覇してみたいと思います。
いや、乗りつぶしとかそういうことよりも、あの独特な世界をまた訪れてみたい気持ちの方が強い。
一日じっくり眺めていたい気分…。
ハマりそうです。

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こまめというわけにはいきませんが、ちょっとしたことを書き記してみます。

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